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嵐の前の静けさ
ぼろっ糞の人類進化の嘔吐物。並ぶくすんだ発展の象徴の中に蔓延る苦虫を噛んだような顔の「ゲロ」。大人もとい魑魅魍魎の劣化物。
その光景を見据えたたずむ冷たい鉄壁はドームのようにこれらを囲んでいた……
「まっさん!出撃準備完了しました!」
「ご苦労、フォン隊長。まだ、15なのに一隊の指揮官とはな。」
190㎝はある、将一のこれまた大きい手がフォンの頭におかれる。
「お褒めにいただき光栄です!ですが、まっさんこそ準総司令官に就任なされたではないですか!!」
可愛い顔をしたフォンの大きな瞳に憧れの火が灯る。
「俺も19になった。寿命もあと2、3年だろう。」
男気のみなぎった眼力で壁を見つめるその瞳には明らかに悲しみが滲んでいた。
「まっさんが死ぬわけないです!それにまっさんが死んだら僕泣いちゃいますよ?」
「そいつは困る、お前泣くと五月蝿いからな。」
フォンの肩を両の手で力強く掴む将一の瞳に悲しみの色は無くなっていた。
「だから死ねないな!」
「はい!!」
二人の笑顔が交差した。