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任務完了

沢山のアクセス、お気に入り、ポイント、ありがとうございます。

感謝感謝です。

真田改め信也の腕からひょいと衿香をすくい上げたのは晴可だった。

彼は衿香をソファーにそっと下ろす。

そこに雅が冷たい水を差し出した。


「飲んで?」

「あ、ありがとうございます」


雅から受け取った冷たい水を一口飲んで、衿香はやっと一息ついた。

大分時間を食ってしまった。

とにかく当初の目的の写真を撮らなければ。

くらくらする頭をひと振りし、衿香は首からぶら下げたカメラをぐっと握りしめた。


生徒会役員を全員並ばせて、衿香はカメラのシャッターを押す。

光の具合と、並ぶ順番で、より雅を目立たせなくする構図を探す。

ものの数分で衿香は目的を達成した。

ついでに撮って~と言う晴可と雅のツーショット写真もカメラに収めた。

確認をとるためにカメラをパソコンに繋ぎ、映像をディスプレイに映し出す。


「どうでしょう?」


衿香が尋ねると、睦月は満足そうに頷いて、木田にも見るよう促す。


「大丈夫だよね?祐真」

「む。まあ、仕方ねえな」

「うわっ!衿香ちゃん、写真上手いやん。へ~、すごい」


横から割り込んだ晴可がパソコンを操作して目当ての写真を探す。

数枚の集合写真の次に、雅と並んだ写真を見つけて満足そうに晴可が笑う。


「じゃあ、こっちにデータを移して、必要な物以外はカメラのデータ消してもいいかな?」


睦月が衿香に言い、衿香も承諾する。

データを消さない方が城ヶ崎は喜ぶかもしれないが、衿香に写真を提供する義務はない。


「あれ?これは?」


パソコンを操作する睦月の手が止まった。

衿香が覗きこむと、ディスプレイには衿香が試し撮りした部室棟の写真が映っていた。


「ああ、それはこちらに来るまでに試し撮りで撮ったものです。消してもらって構いませんよ」

「へえ。衿香ちゃんが撮ったの?綺麗だね。こんな場所、学園にあるんだ」

「文化部の部室棟です。古い建物ですが、ステンドグラスが綺麗なんです」

「へ~。どれどれ」


ワイワイとみんなが集まって衿香の写真を眺める。


「衿香ちゃん、写真の才能あるんじゃない?」

「え?あ、ありがとうございます」

「写真部があったら良かったのにね。でも新聞部でも写真コンクールには応募出来たと思うよ」

「こ、コンクール……?」

「将来は女性カメラマンか~。楽しみだな~」


『いけないんだ~』


突然、衿香の頭に幼い女の子の声が響いた。

なに、これ。

どこかで聞いた事のある声。

でもなんで?

衿香の心に急速に広がる、得体の知れない焦燥。


『ママに怒られちゃうからお写真は撮らないって決めたじゃない』


尚も頭に響く舌足らずの声。

これは。

私の声……?


「衿香ちゃん?」

「あ、はい」

「これ、カメラね」


一瞬、不思議そうな顔で衿香を見た睦月が、カメラを衿香の前に掲げる。


「あ、ありがとうございます」


衿香は慌ててにこやかな表情を作って、それを受け取った。


「ご苦労さま。じゃあ、生徒会取材担当の話、考えといてね」

「あ、はは。そうですね」


引きつった笑顔を浮かべ、衿香は生徒会室をあとにした。

疲れた~~~。

さて、とにかくこの写真を城ヶ崎に渡して、その後の事はゆっくり考えよう。

肩をぐるぐる回しながら歩く衿香。

さっきの不思議な声の事は、彼女の頭からすっかり消え去っていた。



「可愛い子やったな~。睦月?」


衿香が出ていったドアを見つめている睦月に、晴可が声をかける。


「なに?朝霧ちゃんのいる前で聞き捨てならないね」


睦月が冷たい視線をとばす。


「なに言うてんの?俺は雅ちゃん一筋やで。俺なんか気にしてる場合なん?」


睦月の視線を物ともせず、晴可はからからと笑い飛ばす。


「早い者勝ちなんて言わないっすよね。睦月先輩」


敦志の声に振り返る睦月の目に、にこやかに笑う生徒会メンバーの顔が映る。

敦志や夏目はともかく、信也もか。

睦月は心から深いため息をついた。




神田衿香、十五才。

着々とイケメンを攻略している事実に本人が気付くのは、まだ先のようである。





ここまで読んでいただいてありがとうございます。

ここでストックが尽きたので次はもう少し書きためてから投稿する予定です。


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