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猫踏みます

**猫踏みます**


そういえば、思い出した。今年はショパンイアーだって言うことを。ちなみにショパンイアーとは五年に一度のショパンコンクールが行われる年だ。今年は誰が優勝するのかな。楽しみだな。

でも、悲しいことに僕はその会場にいない。審査員や他の出場者たち。それに聞きに来ている客に僕の演奏を聞かせてあげる事が出来ないのだ。ああ、あの事故でどれだけ僕の人生を一変させられたか。

「第十五回ショパン国際ピアノコンクール、一次予選の審査を開始します。」

今頃そう言っているだろうな。すでに秋になっていて、ショパンコンクールも開催されているはずだ。残念ながら日本ではコンクールの様子がテレビで放送されない。放送すれば良いのに、ねえ。

すると、白石さんの弾いたラ・カンパネッラがいきなり頭の中に入ってくる。決めたことは決めたこと。「やっぱりやめる」は絶対に無しだ。

今年一月から今までを簡単に説明するとこういう感じになる。

一月は主にある音から他の音に瞬間移動のようなものをして素早く弾く(もちろん一

つ目の音と二オクターブ以上離れている)。これは意外とそんなに苦労しなかった。

二月以降は何を練習してきたかというと、猫ちゃんの一番好き(の反対)な曲。

「猫踏んじゃったー。」

「ニャァァアァアー。」僕が毎日この曲を弾くたびに猫ちゃんはこう泣き叫ぶのだ。歌詞付きだとなおさらだ。別に本当に踏んでないのだからそんなにビビらないで良いのに。

じゃあ、早速弾こうかなあー。

「ニャァァアァアー。」ほらまた始まった。猫ちゃんは悲鳴的な物を上げながら、家中を走り回っている。そのおかげで家の中は彼女の足跡でいっぱいだ。散歩の後に足を洗ってあげようとすると、なんと水恐怖症。シャワーは良いのに足だけになると悲鳴を上げる……なんでだろう?相変わらずおかしな猫だな。

あ、そうそう、自慢じゃないんで猫踏んじゃったの話を聞いて下さいです。

最初は結構難しいと思った。ミスは多く、正直言って、やばかった。猫踏んじゃったじゃない、猫食っちゃった的な、まったく別の曲に聞こえた。あの時はめちゃくちゃ悲しかったです。涙が出だ。僕はこう思った。

「いつの間にか俺はこんなに下手になっていたのか。」

確かに、一日練習しないだけで三日分の苦労を失うことは知っていたけれどこんなにひどくなるなんて……

悔しくて、たまらなかったあの日々、今ではもう忘れたい気持ちでいっぱいだ。

で、これからは、早速クラシック、つまり古典の音楽のを勉強したいと思います。曲は、まだ決めていないんですけど、多分練習曲にすると思います。ツェルニーあたりから始めようかな……

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