押し寄せる矢と闇だけ
混沌は頂点に達した。
矢の音、悲鳴、骨と骨がぶつかり合う金属音。
知性溢れるゴブリンたちは、まるで優勢だと分かっているかのように、悠々と、足並みを揃えて前進した。
人間の頭蓋骨の兜をかぶったゴブリンの族長は、アヤとリナを何度も指しつけ、喉から出る笑い声のような唸り声で命令を下した。
毒矢が太ももをかすめたアヤは、ケンジを治そうと膝をついていた。
リナは必死に火を放ったが、ゴブリンたちはそれをかわし、網と槍で反撃した。
ハルトはできる限りの防御を試みたが、盾はすでに割れていた。
ミオはまだ網に捕らわれ、もがき苦しんでいた。
ガレス卿は腕の深い切り傷から血を流していた。
パニックの渦の中、リナは地面に何かを見つけた。瓦礫の中でかすかに光る小さな青い水晶だ。
彼女はすぐにそれだと分かった。「緊急転送水晶よ!」と彼女は叫んだ。「一回限りよ!これでここから脱出できるのよ!」
ケンジは息を切らしながら頷いた。
「起動して。今すぐ!」
リナはそれを掴み、手のひらにしっかりと押し付けた。
水晶は輝きを増し、一行の周囲に青い光の輪を描いた。
しかし、ゴブリンたちは急速に迫っていた。
族長はアヤに網を投げつけた。
彼女は悲鳴を上げた。
ケンジは振り返ると…リュックを背負ったまま地面に倒れ、腕からは血が流れ、恐怖で凍りついた私の姿が見えた。
彼の目は冷酷になった。
慈悲はなかった。
ただ冷徹な計算だけ。
「時間が必要だ」と彼は静かに言った。
それから、もっと大きな声で言った。「押して!ゴブリンの気をそらさせて!」
リナはためらわなかった。
彼は私のスウェットシャツの襟を掴み、前に引っ張った。
ケンジは後ろから私を強く押した。
私はゴブリンに向かって転がり落ち、形成されつつある光の輪の端に着いた。
アヤは一瞬私を見た。
彼女の目には涙が浮かんでいた…しかし、罪悪感からではなく、
安堵からだった。
「ごめんなさい」と彼女は呟いたが、その声は偽りだった。
光の輪はまばゆい閃光とともに作動した。
他の者たちは青い光の渦の中に消えた。
彼らの声だけが残っていた。
「行こう!」
「城へ!」
「彼女を置いてきた!」
そして…静寂。
私は一人ぼっちだった。
ゴブリンたちは光に戸惑い、一瞬立ち止まった。
しかし、仲間も武器も何もなく、そこに横たわる私を見た時…彼らの目は飢えよりも恐ろしい何かで輝いた。
ゴブリンの長は長く黒い舌で唇を舐めた。
他のゴブリンたちも同じようにした。
彼らは文字通りよだれを垂らしていた。
彼らの視線は頭からつま先まで私の体中をじっと見つめ、彼らが最も興味をそそられる部分にじっと留まった。
彼らは私には理解できない言葉を呟いたが、その声色は明らかだった。興奮、サディスティックな欲望。
彼らの一人が私を指さしながら股間に触れた。
もう一人が卑猥な笑い声を上げた。
私は何も持っていなかった。
剣も魔法も、木の杖さえも(混乱の中で失くしてしまったのだ)。
バックパックは私の横に壊れて転がり、物資は散乱していた。
私のスキル[鉱物親和性]はここでは役に立たなかった。発動する罠も、見つけるべき出口もなかった。
ただ冷たい石と暗闇があるだけだった。
私はよろめきながら立ち上がった。心臓が激しく鼓動し、痛んだ。
足が震えた。
私は逃げた。
廊下の突き当たり、一行がまだ行ったことのない場所へと走った。
石化した根につまずき、凸凹した地面に膝を擦りむいた。
背後から、ゴブリンたちの足音が聞こえた。
喉を鳴らすような笑い声。
一人が、彼らの言葉で「俺のものだ!」と聞こえる何かを叫んだ。
どこへ向かうのかも分からず、私は走った。
廊下は狭まり、空気は重く冷たくなった。
壁は相変わらず頭蓋骨で覆われていたが、今やその密度は増し、まるでこの場所が忘れられた墓地のようだった。
肺が焼けるように痛んだ。
腕の傷口から血が流れ出した。
しかし、私は止まることができなかった。
もし捕まったら…何をされるか、私には分かっていた。
ただの死ではない。
もっとひどいものだった。
何かが、私を殺す前に私を壊してしまうだろう。
突然、廊下は小さな円形の部屋で途切れた。
中央には、まるでその場所で育ったかのように壁に埋め込まれた、巨大な水晶があった。
それは転移水晶のような青ではなかった。
それは半透明で、ターコイズ、エメラルド、サファイア、純粋なダイヤモンドといった、変化する色の脈を描いていた。
それは内なる光を放ち、心臓のように脈打っていた。
私は思わず壁に触れた。
私のスキルが本能的に反応した。
私は…生命を感じた。
普通の鉱物ではない。
何か古代のもの。
私が待ち望んでいたもの。
ゴブリンたちが部屋に入ってきた。
族長が先導し、再び唇を舐めた。
彼らはゆっくりと近づき、その瞬間を味わった。
私はガラスに身を預けた。
逃げ場はなかった。
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