3-B教室のありふれた一日
5月の月曜日、窓を開けていても教室の中は既に暑さがこみ上げてくるような日だった。
私、田中あかりはいつものように7時45分に教室に到着した。入口の集団を避けるため、裏口から入った。いつもの席、最後列、裏庭に面した窓の隣の席に座った。ガラスには2年前から稲妻のようなひび割れが入ったままで、誰も直していない。
ノートを取り出して机の上に置いた。誰とも話す気がしなかったので、最初からうつむいていた。灰色がかった髪がカーテンのように顔にかかっていた。私はその方が好きだ。頬の赤い斑点と、「死んだ魚みたい」と言われる目が隠れるからだ。
7時55分、他の生徒たちが集まり始めた。
ケンジが真っ先に教室に入ってきた。制服はピカピカで、リュックサックを肩にかけていた。女子生徒たちは皆、すぐに彼に目を向けた。彼はニヤリと笑い、2、3人に手を振ると、いつも人気グループが座る部屋の真ん中に座った。
そこにアヤがやって来た。
クラスのプリンセス。長く艶やかな黒髪、完璧な肌、まるで入ってくる5分前にアイロンをかけたかのような制服。私の列の近くを通り過ぎた時、彼女は少し立ち止まり、私を上から下まで見て、低くクスクスと笑った。
「あら、アカリ…今日もシャワーを浴びてないの?ここ変な匂いがするわ。」
すぐ後ろにいたリナが吹き出し、付け加えた。
「たぶんスウェットシャツのせいよ。去年からずっと同じの着てるでしょ?まるで一人歩きしてるみたい。」
二人は笑いながら、部屋の「VIP」セクションにある自分の席へと歩き続けた。通り過ぎる他の数人の女子生徒もクスクスと笑っていた。誰も私を擁護しようとはしなかった。いつも誰もそんなことは言わない。
8時、数学の田中先生(ありがたいことに、私とは血縁関係はない)が教室に入ってきた。授業はいつものように二次方程式から始まった。黒板に書かれたことを、よく理解していなかったが、書き写した。私が書き写すのは、問題にならないためだけだ。
10時20分の休憩時間、私は席に座ったままでいることにした。いつもそうしている。廊下に出ると、より自分の露出が増えるからだ。
私はスウェットシャツの右ポケットから、小さな黒いベルベットのポーチを取り出した。誰にも見られないよう、膝の上でそっと開けた。
中には宝物が入っていた。
大きなコインほどの大きさの、丸みを帯びた乳白色の水晶。
白い脈が入った、濃い紫色の小さなアメジスト。
太陽の光にかすかに輝く、小さなタイガーアイ。
3ヶ月前に180円で買った黒曜石の薄片。
私は目を閉じて、それらを一つ一つ触ってみた。まず、冷たく滑らかな水晶。それから、ギザギザの縁を持つアメジスト。そして、内側に炎の筋が閉じ込められているようなタイガーアイ。最後に、鋭く危険な黒曜石。
いつものように、私は思った。
「いつか私もあなたのようになりたい。
本物の石を壊そうとする人はいない。
踏んだり、無視したりすることもない。
みんなそれを大事にし、見つめ、欲しがる。
私もそうありたい。
たとえ一度だけでも。」
目を開けると、アヤが席から私をじっと見つめていた。彼女は嫌悪感を込めた顔をして、リナに何かをささやいた。二人は口を覆いながら笑った。
「ほら、また石で独り言言ってるわ」リナはクラス全員に聞こえるくらい大きな声で言った。「変ね。」
ケンジはくすくす笑い、「なんて悲しいんだ」と言わんばかりに首を横に振った。
私は頭を下げて、急いで石を片付けた。顔が焼けるように熱くなった。
午後の授業は自然科学だった。
先生は鉱物と宝石についてのプレゼンテーションを映し出した。最初の映像が映し出されたとき、完璧にカットされたダイヤモンドが虹色に輝いていた。心臓がドキドキした。
先生は説明した。
「ダイヤモンドは自然界で最も硬い物質です。他のダイヤモンド以外、何ものにも傷をつけることができません。だからこそ、切削工具や高級ジュエリーに使われているのです。」
私は瞬きもせずにスクリーンを見つめた。
「私もあんな風になりたい。」と私は思った。
「誰にも壊せないものになりたい。
誰もがそばにいたいと思うものになりたい。
誰も無視できないほど明るく輝くものになりたい。」
アヤがささやくのが聞こえるまで、自分が少し微笑んでいることに気づかなかった。
「見て、あの太った女の子が石によだれを垂らしているわ。なんて情けないの。」
また笑いが起こった。
私は頭を下げ、机の下で拳を握りしめた。
その日の残りは、いつものように長く感じられた。
終業のベルが鳴ると、私はゆっくりと荷物をまとめた。廊下で誰かに会うのは嫌だった。
しかし、裏口へ向かおうとしたまさにその時、リナが私の行く手を阻んだ。
「ねえ、アカリ」彼女は、何か意地悪なことを言いかける時にいつも見せる作り笑いで言った。「あのねえ、その汚い小石を教室に持ってくるのはやめた方がいいわ。気持ち悪いわ。まるでゴミ拾いごっこをしている小学生みたいよ。」
アヤが彼らの後ろに現れ、付け加えた。
「それと、髪も洗って。本当に。ここからだと油っぽく見えるわ。」
彼らは笑いながら出て行った。
私はしばらくそこに立ち尽くし、床を見つめていた。
それからポケットに手を伸ばし、小石の入った小さな袋をぎゅっと握りしめた。
「いつかね」と私は思った。
「いつか、もっと違う扱いをしていればよかったと後悔するだろう」
いつものように、私はうつむいて家に帰った。
その日も、次の日も、その次の日も…
すべてが突然変わるとは、知る由もなかった。
読んでいただきありがとうございます。
もし楽しんでいただけたら、評価やブックマークをしていただけると励みになります。
次回もよろしくお願いします。




