ボツ集その6
村の出口は入ってきた方と反対にあった。
出口と言っても目の前に森が広がっている以外は特に何も無いが。
「で、クランはどこに行くんだ?」
「んー? ボクもリニダーの街に行こうかなーって。それにリベットお兄さん1人じゃ寂しいだろうしね」
「いやまぁ、そりゃ結構だが……」
次の街まで森を抜ける必要があるが、そこまで距離がある訳では無いらしい。
バトルチュートリアルもこの森で受けるんだろう。
「さぁさぁ! 突っ立ってないで行こうよ!」
「引っ張るなよ……」
俺がクランに森の中へ連れ込まれようとしていると
「随分と元気なお仲間なことで」
「誰だ?」
後ろから声をかけられた。
振り返るとそこに居たのは腰に手を当てた女性だった。
身長は俺より少し低いくらいだから160cm台か。
女性にしては高い方だな。
髪は黒く見える限りでは腰の辺りまで伸びている。
「メタ的な答えとそれっぽい答えのどっちがいい?」
「なるほど、パートナー枠か」
「そういうこと。アンタ、随分と運がいいみたいだね。人型のパートナーなんてそうそういないんだよ」
なるほど、確かに武器や本じゃコミュニケーションも取りずらい、か。
そう考えると確かに運がいいのかもしれない。
「それじゃそんな幸運な俺に名前を教えて貰えないか?」
「名前……名前か……」
「ん? こっちが付けないとダメなのか?」
「そんなことは無い。私はトリムーパ。トリムと呼んでくれ」
「トリムだな、よろしく。俺は─」
「いや、知っているとも。私はアンタのパートナーだからな。アンタの情報は一通り頭に入っているとも、リベット」
俺の名を呼び、トリムが近づき手を出してきた。
「あぁ、こちらこそよろしく」
その手を取り握手しようとしたその瞬間、
「さぁさぁ! リベットお兄さんや! とっととこの森を抜けてその先にいくよ!」
「おいおい、クラン。何をするんだ」
「ふんだ! 先に見つけたのはボクの方だよ! そんなあとから湧いて出てきた女なんかにお兄さんを取られてなるものかい!」
握手しようとしたその手を引っ張っていくクラン。
俺の後ろから離れない程度に着いてくるトリムは
「やれやれ。随分と懐かれているんだね、アンタ」
「どうかね。ほんとついさっき出会ったばかりなんだが……」
まぁ、1人よりも大勢の方が旅も楽しくはあるか。
本編でトリムが出てくることは多分......ない、はず......




