ボツ集その21
「はぁはぁ……全く……乱暴はよしてよね……」
「お前が暴れるのが悪いのだろう」
一悶着あったが、なんとか落ち着いたところで、
「で? そのひび割れた仮面舞踏会マスクがなんだってんだよ」
「ムフフ、これはねぇ。こう使うのさ!」
空高くマスクを投げ上げ、その後間髪入れずにトランプを追いかけるように投げる。
空中でマスクとトランプがくっついた瞬間、
「まぶしっ」
「ムフフフフフ、ここからが本番さ!」
強烈に光り輝き、
「嘲笑の理 笑え 嗤え 嘲笑え そらそら道化師が歩くぞ 愉快な道化が踊るぞ 踊り 舞い 詠い 滑稽に 非道く滑稽な道化師のショー 惑わし 騙せ 仮面の下に隠した表情 なーんだ! 嘲笑の理:五情無情」
詠唱が終わり、宙を舞って仮面は再びクランの手の元へと戻っていく。
「はい、これあげる!」
「いや、説明」
『仮面舞踏会マスクを入手』
「システムも説明下手か!?」
「まぁまぁ。とりあえずそれを付けてみなよ」
「……こうか?」
クランが付けているのとは少し違って、俺の手元のマスクは派手さはなく落ち着いているタイプだ。
見様見真似でクランと同じく目の辺りにマスクを持っていく。
すると自動で装備される。
うーん、便利。
「そそ。んで、リベットお兄さんも持ってるコレをかざしてー」
「トランプ……いや確かに持ってるけども」
「さぁ行ってみよー! レッツ野外戦闘!」
ちょっと待て!
「さぁさぁ、気を抜いてる暇なんてないよー?」
「何事も実践あるのみ!」
「貰った力に溺れるなんてそんなのお兄さんらしくないしー?」
「大丈夫大丈夫! 他の2人にはお邪魔しないよう取り引きは済んであるから!」
「という訳で、まずはどれがホンモノのボクか当ててみよー!」
「まぁ? お兄さんなら? すーぐにボクのこと見分けちゃうかもだけどー?」
「ボクもさー、すこーーーーしだけホンキ、出しちゃいたい気分? ってやつでー」
「あ、大丈夫! ボクからは攻撃しないから!」
「お兄さんは」
「「お兄さんの持ってる力を使って」」
「「「特訓してみよー!」」」
いや、うるっさ。
「なんでも使っていいんだな?」
俺の周囲を取り囲んでいるクラン達に問いかけると
「モチのロンさ!」
「あ、でもでも! 2人の力を使うのはナッシング!」
「お兄さんの力だけで頑張ってね!」
「それ以外なら何を使ってもOK!」
それなら
「テイシオ! スキルの書を渡してくれ!」
「足元に届けてある。存分に活用するがいい」
届くか分からないから大声だしたら既に足元にナイフが突き刺さっていた。
アイツ、まだ正気失ってるんじゃねぇのか?
それはいいとして、まずはこのナイフの持ち手に括り付けられたスキルの書を開く。
『スキル:ナイフ ルーキー編
敵にナイフで攻撃する 0/10
敵にナイフを投げて当てる 0/10
』
打開策ならず……!
かと言ってステータス画面なんぞ開いても……
「……あった」
一か八かの大勝負……
『祝福を』
『禍を』
『『その声で示せ。我ら路を提示せん』』
どうなるかはわからないが……
「祝福も禍も分からないけど……俺は自由にこの世界を旅するんだ……何にも縛られない自由を、俺に!」
『祝福を今ここに与えられん。自由の祝福を汝に』
『厄を今ここに与えられん。試練の災いを汝に』
『自由には対価を』
『試練には対価を』
『『さぁ今ここに』』
「グォォォォォ!!」
「何てもの召喚してるの、お兄さん!!」
「俺に聞くな!」
やらかしたのは間違いなく俺だけども!
詠唱が下手な頃の私でした。




