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ボツ集  作者: からくり
19/36

ボツ集その19

「あれがモノリスか……」

「ソレに触れば登録となる。どの街にも置いてあるから必ず触れるのだぞ?」

「そりゃいいが……かなりデカイな」


首が痛いくらいにはデカイ。

噴水の周りに結構な人がいるから少し離れて見ているが、出入りは頻繁のようだ。


「リニダーも久しぶりだなー」

「パーティー募集中ー! 行先は迷いの森深部ー!」

「だぁぁぁぁ! またやり直しだ!!」

「次どこ行くー?」

「ハルタまで1万セーリ!? ぼったくりすぎるだろ!!」

「なんでそんなに金がねぇんだよ」

「貧乏人乙ー。んじゃお先ー」


「あの中を触りに行くのか……」

「まぁ普通は街に着いたらすぐモノリスに触るんだがな」


多分だけど普通のチュートリアルを受けていないな?

もしくはこれもチュートリアルなのか……


「まぁいいか。とりあえず触ってくるわ」

「一緒に行くか?」

「流石に1人でいいだろ。触って戻るだけだ」


人が多いと言っても前に進めないほど多いわけじゃないしな。

人を掻き分け、モノリスの前に着くと、手の形をした型があった。

ここに触ることで登録だろうな。

とりあえず触ってさっさと次の街にでも行こう。


と、その時。

鐘の音が響き渡った。


『これは祝福の鐘。汝、選ばれし者。汝の道に祝福あれ』

『これは禍の鐘。汝、選ばれし者。汝の道に禍あれ』

『『我ら創世の神。汝、何れは我らを打ち倒す者が1人なり』』

『選べ、祝福を』

『選べ、厄を』

『『汝の道は汝が決めるものなり』』


鐘の音が鳴り止む。


「な、なんだぁ……」


思わずポロッと声が出た途端、集まる人の視線。


「やぁやぁやぁやぁ! みんな悪いねぇ、ボクなんかのためにここに来てくれて!」


と、ついでにどこかで聞いたことのある声。


「クラムグ」

「しぃー。とりあえず静かに」


格好こそ違うが、声と雰囲気は街の入口で別れたはずのクランだった。

名前を呼ぼうとしたら手で塞がれたが。


「この子ね、ボクのお気に入りなの。昨日なんかあの! 暗殺者ギルドのギルドマスターでもある! テイシオくんをコテンパンにしちゃったもんね!」


コテンパンにはしていないが……というかお気に入りってなんだ。


「皆もそれを知ったからここに来たんでしょー? あとあわよくば自分のチームに加入とか考えたり? 知ってる知ってる! でもでもでもでも、残念っ! この子はボクがもらっていきまーす! まだまだ駆け出し冒険者のこの子を誰かに盗られるなんて、ボクは……ボクは……」


ウッウッ、と泣いている真似を披露するクラン。

周りもちょっと同情してる雰囲気をだしているのは何故なんだ。


「哀しくて悲しくて、嬉しくて楽しくて、バーッとばら撒きそうになっちゃう!」


突然空中から紙切れが舞い散る。

赤と黒で彩られたチケットのような紙が空中を埋めつくしヒラヒラと地面へ舞い降りていく。


「ということで、イベント開催のお知らせだよー! ピエロで、道化師で、クラウンで、可愛くて、カッコよくて、みんなの人気者で、アイドルで、みんなの王子様で、みんなの王様のボクが開くパレードにご招待だ!」


「 始まりはこの街、リニダーから終わりは王都にある王城まで! もちろん、ただただ参加するだけじゃ面白くないよねぇ! ただただ道を歩くだけじゃ面白くないよねぇ! ということで、何と! 王都に着くまでにいっぱいモンスターをばらまいちゃいました! パチパチパチ! もちろん、みんなの強さに合わせて強くなったり弱くなったり、するわけないのでしたー! ということで、みんなで頑張ろう、モンスター狩りのお時間だー! 倒したモンスターによって素材が配布されるよ! よわーーーーいモンスターからつよーーーーーーーーーーーい、モンスターまでいーーーーーーっぱい登場するから、みんなで頑張ってね! あ! それとそれと、みんながまだ見たことの無いボスモンスターももれなく大量に、それはそれはいっぱいでるから頑張ってね! 倒しきれないと……街が破壊されちゃうかもね! 皆はこのモノリスから復活出来るかもしれないけど、この世界の住民は死んじゃったらそれまでだから、頑張ってね!」


まぁありがちだな。

NPCは復活できず、プレイヤーだけは何度も復活する。

その辺ってどうなっているんだろうか。


「ということで、明日の朝からリニダーの街の外は阿鼻叫喚地獄になるので、頑張ってねー! あ、参加したくない人は迷いの森の方からでるといいよ! ぐるっと回ればイベント参加しなくて済むようになってるからね! それじゃバイバイ!」


長いよ。

あと俺を掴んだまま宙に跳ぶな。


「暫くそのままでいてね。トリムちゃんなら大丈夫。街の外で待ち合わせてるから」


ヒラヒラと紙切れが舞う中、俺はクランに掴まれたまま屋根の上を跳んでいくのであった。

クランの正体はなんとクラウンだったのでした

な、なんだってー!?

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