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ボツ集  作者: からくり
18/36

ボツ集その18

「で? 納得のいく説明をして貰えるんだろうな?」

「もちろん。だがまずは」


書店近くの裏路地に入った俺とトリム、そしてテイシオとお互いに対峙するが


「済まなかった」


テイシオが深く頭を下げた。


「……は?」

「許しを貰えるとは思っていない。駆け出し冒険者のお前に、喧嘩を吹っ掛けたのはこちらだ。お前の気が済むまで俺を好きなようにしてもらって構わない」

「いや、そういう事じゃなくてな……」


トリムの方へ助けを求めるように顔を向けると、そこには少し複雑そうな顔をしているトリムがいた。


「コヤツな、どうにも正気を失わされていたらしい」

「正気を?」

「……リベット、ここから先は話を聞いたら最後、後戻りはできない。私はアンタの行く先に着いていくし、全力でサポートもする。だが、こればかりはどうも……な」

「……聞かない方がいいのと、あとはそっちでなんとかするんだな、テイシオ?」

「無論。こちらの全力を持ってヤツらを絶滅させようぞ」


オーケーオーケー。


「分かった。なら聞かないし、あとはそっちで何とかしてくれ」

「承知した」

「で? 暗殺者ギルドの次期頭領? だっけか。こんな所でなにをしているわけ?」

「結論を言うとそこにおられるお方……いや、トリム殿を追いかけてきたのだ。偶然にも指示書を頂いたものだからな。そこから足取りを辿ってきたということだ」

「私のミスだよ、リベット。まさかここまでするとは思わなかったんだよ」


やれやれと首を振るトリム。

まぁ色々あるんだろ、きっと。


「まぁそりゃいいが……これからどうするつもりだ?」

「一先ずはお前達の旅路に付き合おうと思っている。これの練習を見ることも兼ねてな」


スキルの書をヒラヒラとさせながらそういうテイシオ。


「もちろんリベット、お前が嫌でなければの話だ。その場合は外で軽く練習を見ることになるが……」

「いや、そりゃありがたい話だが……いいのか? 暗殺者ギルドの人間が暗殺者でもない俺に教えを説いても」

「ナイフの使い方を教えるだけだ。そこから先どう伸ばすかはお前次第ということだ、リベット」


スキルは進化し、枝分かれもする……だったか。


「それじゃ……よろしく?」

「あぁ、こちらこそ」


おずおずと手を差し出すと、しっかりとした握手が返ってきた。

実は良い奴だったりするのか?


「それでだ、リベット。トリム殿とはどういう関係なのだ?」

「どういう関係って……ただのパートナー、相棒だよ」

「ほう、パートナーで相棒か……それはそれは随分と羨ましい限りだなぁ……!」


……訂正。

コイツやっぱりまだ正気を失っているに違いない。

現に俺の手がミシリって嫌な音を立てたからな。


「テイシオ」


トリムの声に渋々と手を離すテイシオ。


「……失礼。少し頭を冷やしてこよう。街の外で待っているぞ」


そう言ってテイシオは消えた。

残ったのは俺の手の痛みだけ。


「あの野郎……」

「次は私があの首を落とすから安心しろ」

「そこに何一つ安心要素がないのが怖いんだが?」

「フッ、冗談だ」


冗談に聞こえなかったぞ?


「それよりも街の噴水はもう見たか?」

「噴水?」

「どの街にもモノリスが置いてあるんだが、そのモノリスから別の街へとワープが可能なのだ」

「ほー。そりゃ便利だな」

「最もワープ機能を使うには少しばかりのセーリが掛かるんだがな」


便利なものには対価を、かね?


「まずは噴水を見に行ってからにするか」


その後のことは……その後で考えればいいか。

テイシオさんは王都まで着いてくる予定でした。

自由か、コイツ?

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