ボツ集その12
「次は冒険者ギルドか?」
「あぁ、依頼でも受けてみようと思ってな」
「なるほどな。リニダーの街は駆け出し冒険者がよく集まる街だ。そこまで難しいものはなかろう」
ゲーム的にも序盤の街、といったところか。
「私が依頼を手伝うことは問題ない。が、自分の身の丈にあったものを選ぶことだな」
「頼りにしているとも。もちろん、頼りっぱなしになるつもりはないけどな」
俺は冒険者ギルドへ、トリムは扉のそばへそれぞれ足を運ぶ。
冒険者ギルドは最初の村と同じ酒場風だった。
少し違うところは、壁に人が集まっていることくらいか。
まぁ、あそこは閑古鳥が鳴いていたしな。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。ご要件は?」
「依頼を受けに来た。つい最近ここに来たばかりの異界人だ」
「あら、そうでしたか。新しい異界人が来られるのは随分と久しぶりなものでして。冒険者証はありますか?」
カウンターの向こうに座っている受付嬢に冒険者証を手渡す。
「はい、確認が取れました。駆け出し冒険者のリベットさんですね。依頼でしたら、こちらで選んでいただくか、あちらの壁に依頼書が貼ってありますので、そこから選んでいただくかになります」
「カウンターで選ぶのと壁から選ぶのとどう違うんだ?」
「私共から冒険者様の力量に合わせて紹介する、もしくはご自身で選んでいただく、ということになります。リベットさんは初めてということですので、まずは平原でコッコの素材採取、薬草採取、スライムの体液採取からになりますね」
コッコと薬草はまだわかる。スライムの体液……?
「スライムの体液とは?」
「あら? 平原でスライムと戦闘になりませんでしたか?」
「平原コッコは首を絞めたが……スライムは相手にしにくそうだったからな」
「そうですか……失礼しました。ここリニダーの街は駆け出し冒険者の方が集まる街です。こちらに来られたばかりの異界人の方達はもれなく平原で戦ってこられたり、遭遇したりしていましたので……」
そこまで見かけなかったが……兵隊がある程度駆逐したか、偶然いなかったのか。
「スライムの体液ですね。こちら、平原にいますスライムの核を壊すと入手可能になります。その際漏れないような袋などに入れておくことをおすすめします。核を壊せばスライムもただの粘液ですので」
「地面にそのまま、か」
「はい。あちらの売店で採取用の袋などを取り扱っていますので、もしよろしければ」
スライムか。
拳……というかバンテージだと相手にしにくそうだったが、袋の中に入れてしまえばどうということはなさそうか。
「わかった。そのスライムの体液採取を頼む」
「かしこまりました。こちら依頼書の写しになります。スライムの体液が入った袋を5袋お願いしますね」
そう言ってでてきたのはウィンドウ。
書いてあることを読めば、
錬金術師ギルドで使用する、報酬は薬と150セーリ……
「なぁ、随分と高くないか?」
「それがですね……」
少し言いにくそうな受付嬢から聞いた話によると、どうやらスライムを捕まえたくない冒険者が多いことが主な原因だとか。
「まぁ……確かに触りたくはないわな」
「はい……それに駆け出し冒険者の方が多いのも相まって、中々皆さんスライムを捕まえたがらなくて……ゴブリンとかコッコの方が闘っている感じがするとかで……」
「あー……」
まぁ……そりゃそうか。
「まぁ事情は分かった。とりあえず体液を取ってくればいいんだな?」
「はい! 採取が終わりましたら、また冒険者ギルドの方へお戻りください」
まずは売店で袋を少し多めに購入。
1袋10セーリ。
少し高いが……まぁ体液がでないようにするにはそれなりに工夫がいるんだろうさ。
とりあえず10袋……いや、15袋でいこう。
5袋分取れたらいいし、多く取れたら買い取ってもらえばいい。
買い取って貰えるかは分からないが……
おかしい......こっちの方がちゃんとゲームっぽい......




