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ボツ集  作者: からくり
11/36

ボツ集その11

「ほう、平原コッコをか。随分と状態がいいが……本当に初めてか?」

「まぁ、手でこう……キュッと絞めただけなんだが」


狩猟ギルドはログハウス風の2階建てだった。

壁は丸太を組み上げて作られていて、梯子からカウンター、扉までに至る全部が木でできていた。


「"初めてにして"、は状態がいいということだ。お前が望むなら狩猟ギルドに入ってもいいのだぞ?」

「あー……まぁ、考えておくよ」

「そうか。では買取額だが」


と言いながら出てきたのはウィンドウ。

紙じゃないのもゲームっぽくていいな。


「しめて200セーリだ」

「結構貰えるんだな」


ゲーム開始時点での所持金は500セーリ。

村で仮面を買って499セーリ。

今増えた分で699セーリか。


「上手い具合に肉が切れていること、血抜きまでしていること、その2点が加算ボーナスだな。普通初めて狩りをするってなると、どうしてもズタボロになってたり、血抜きを知らなくて鮮度が悪かったりするもんなんだが……そこら辺アンタは随分と上手い。初めてなら100で上々、50でまぁまぁなんだぜ?」


そういうことか。


「まぁあれだ。スキルとか取るってんなら街の書店に行けばいい。スキルの書とか売っているからな。素材の買取りならいつでも受け付けてるからまたよろしくな」

「そうさせてもらう。ところで、この肉とか羽はどうなるんだ?」

「肉は街のレストランとか酒場に卸すことになるな。羽はウチの狩人共か、アンタらみたいな異界人で弓を使うヤツが買っていったり……あぁ、錬金術師共も使うみたいだぞ。どう使うかはサッパリだがな」


なるほどな。

羽1つを取っても使い道があるから、売れるというわけか。


「気が向いたらまた頼むよ。アンタみたいに上手いヤツは大歓迎だ」

「気が向いたらな」


猟師ギルドを後にして、パンフレットを開く。

次は冒険者ギルドで依頼を受けるのも悪くない。


「ん? 終わったのか」

「まぁな。でもなんで外で待っていたんだ?」

「あぁ、知らないのか。パートナーと言えど、数多くの種類があるのは知っているな? その中でもヒト型と言われる私たちは基本的に外で待つことになる。許可が降りれば別だがな」

「そりゃまたなんで」


その問いにトリムは人差し指を立てた。


「まず第1に区別がつかないからだ。パートナーとは異界人しか持ちえないもの。この世界の住民は基本的に意思疎通のできる相手や持ち主の考えを読み取る武器なぞ持たないものだ。で、店やギルドに入る時にヒト型のパートナーが入るとどうなる? 異界人を相手にしているのかそれともヒト型のパートナーなのか。見た目だけは一緒だからな、一見しただけでは分からないものなのだ」


次に中指も立てる。


「第2にかつて事件が起こったのだ。こっちの理由が1番割合を占めていると言っても過言では無い」

「事件?」

「向こうの世界で言うところのおよそ3年前か。ルールを守らなかったバカがギルドにヒト型のパートナーを連れ込んでいてな。どうしたと思う?」

「どうしたって……代わりに依頼を受けさせていたとか?」

「ほう、中々鋭い。その通りだ。要は顎でヒト型パートナーをこき使っていたのだ。そこまでなら厳重注意で済んだ」


済まなかったのだろう。

ということは


「パートナーとは主と共に成長するもの。武器であれ、ヒト型であれ、そこに差異はない。代わりに受けさせていた異界人は決して街の外に出ることは無かった。代わりにパートナーを外に出していたのだからな。結果として、身の丈に合わない依頼を受けさせられ、決して失敗できない依頼を失敗したということだ」

「それだけ聞くと事件には思わないが……」

「まぁ待て。その依頼はな、いわゆるランクアップの依頼だった、といえば分かるか?」


なるほど?

つまりは本人ではなく自分のパートナーにランクアップ依頼をも受けさせていた、と。

そうなると……


「冒険者の証明書はどうしたんだ? 流石に偽造できないだろう?」

「偽造はできないな。だが、本人が化けていたとしたら?」

「なるほど、パートナーが異界人そのものに変装していたのか」

「魔力……あぁ、MPというのだったか? それが切れない限りは限りなく変装相手に近い状態だったらしいぞ」


とんでもない魔法があったものだな。


「だがそれだけだと大事になるようには思えないが?」

「そう思うだろう? だがな、冒険者ギルド以外でもやらかしていたのだよ」

「やらかしていた……?」

「まずは窃盗。こちらの世界の住民に変装してしまえば、まず見分けられないからな。それを利用してあちらこちらの街で売り払っていたそうだぞ?」


なるほど、それで店やギルドに入れなくなったのか。


「だがな、中には禁制品をも売り払っていたとのウワサもあってだな」

「禁制品? 例えばどんなのだよ」

「そうだな……例えば、扱いを間違えれば街1つ吹き飛ぶ魔道具とかな」


禁制品以前にんなもん作るなよ……


「まぁあくまでウワサだ。そこまで気にするな。ということで、異界人は店やギルドに入る時は、ヒト型のパートナーであれば外で待たせる、武器などであれば身につけず袋などに入れるようになったわけだ」

「なるほどなぁ……ところで許可はどうすれば降りるんだ?」

「冒険者ギルドで貢献度を一定数集めれば降りるとは聞いたな」

「んじゃ頑張らないとな」


自由に旅をするのが目標。

相方にまで押し付けるつもりは無いが……寂しいしな。

改めて読むと、この設定も入れてよかったかもしれない。

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