「素人はSNSをやるな」における素人の線引きとは?
「芸能人とかアスリート以外はSNSやるな。素人が何発信してんだって、ずっと思ってんだ、俺。そんなもんは。見てりゃいいんだよ」
当該動画は、すでに削除されてしまっていたため、完全な考察は出来ない(切り抜きを見るのみ)。しかしながら、謝罪動画を見る限り、発言した芸人は、笑えるくらい反省の色ゼロ。ずっと不貞腐れた表情で、言い逃れに終始していた。
相方も、問題の動画では、発言を諫めず、笑って合いの手を入れていた。あとで動画の削除とコメント欄の閉鎖も、相方が指示したそうなので、どっちもどっちのお似合いコンビだ。そもそも、スタッフも編集も、動画をそのまま投稿しているのだから、関係者全員の悪ノリともいえる。
―― さて、謝罪動画を踏まえ、発言を考えたい。
別の芸人が、Xのアカウントを乗っ取られたことに端を発するセリフのようだが、そもそもX(旧Twitter)は「素人がつぶやく場」として始まっている。それが一般人でも発言に影響力を持てる場と認識されると、後からハイエナのように有名人たちも参加するようになったというのが、Xの歴史。―― だからまあ、そもそもの認識が、面白いくらいにズレている。
でもって、「発言権がある者」の定義として「芸能人とかアスリート」を口にした今回の芸人。「言論人」ではなく、「芸能人とかアスリート」としているあたりに、その知性の低さも垣間見れ、思わずニッコリ(そもそも芸人は、いつから芸能人扱いになったんだ?)。
どう考えても、戯言である。
芸人を「言葉のプロ」と自称するのなら、今回は素人でも、なかなか犯さない「免許剥奪」に相当する事故を起こしたことになる。そもそも、今回のコンビの芸風は、言葉ではなく、間や滑稽さで笑わせる下流のコントが主体。そういった意味では、彼らもまた、彼らが侮蔑する素人と同一線上の言語レベルを持つに過ぎない。
芸人が、明確に何かを勘違いし始めたのは、やはり松本の登場あたりからか。それまでにも、たけしが本を出したり、芸人を超えた領域に足を踏み入れていたが、彼にはまだ一線を引く礼儀があった。
「笑われ」でも、なまじっか金を稼げてしまうと、自分が偉くなったと勘違いを始める。稼いでもなお、素顔を見せずに振舞える人間以外は、むしろSNSはやめた方がいい。
酒も飲まずに、自分に酔っぱらえるレベルにまで来たら、いよいよ自重すべき時だ。特に初老を超えた芸人たちは、老害化にも拍車がかかってきているのが、過半数。こういった予備軍からは、SNSを取り上げるくらいの措置が必要だろう。所属事務所のリスクマネージメントとして。
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それにしても、今回の件は、さすがに稚拙に過ぎる。ひょっとしたら、本当に酒を飲みながら撮影していたのかもしれない、その動画も。
「芸人なら、笑える話以外は投稿するな」と、こちらからも言ってやろうか?