ep5
手に入れた謎の金属片を、
灯里は宿屋に持ち帰った。
男の子はその金属片をじっと見つめ、
何かを考えているようだった。
灯里は試しに、
男の子が持っているデータ端末を金属片に近づけてみた。
すると、
データ端末が淡く光り、
画面にいくつかの記号が表示された。
それは、
以前男の子がデータ端末を操作している時に見たものと似ていた。
どうやらこの金属片は、
データ端末と何らかの関連があるらしい。
灯里はデータ端末に表示された記号を注意深く観察した。
意味は分からないが、
特定のパターンがあるように見えた。
男の子はデータ端末の画面を指さし、
何かを伝えようとする。
灯里は男の子の仕草から、
この金属片が異世界に関する重要な情報を持っていることを理解した。
翌日、
灯里は金属片について何か知っている人がいないか、
港町で聞き込みを始めた。
しかし、
町の住人は誰もその金属片に見覚えがないようだった。
異世界人の存在は、
この町ではまだあまり知られていないのかもしれない。
聞き込みの途中、
灯里は町の古参の船乗りから、
奇妙な噂話を聞いた。
曰く、
町の外れにある古い図書館には、
この世界のものではない珍しい書物や品々が収められているという。
その中には、
触れると光る不思議な板がある、
という話も耳にした。
「触れると光る板…?」
灯里の頭の中に、
図書館にあるという噂の「光る板」のことが思い浮かんだ。
そして、
男の子が以前持っていたデータ端末、
異世界人が使っていた装置、
そして今手元にある金属片が、
全て繋がっているのではないかという予感がした。
灯里は急いで宿屋に戻り、
男の子に図書館の噂話を伝えた。
言葉は通じないが、
灯里が「図書館」「光る」「板」といったキーワードを身振り手振りで伝えると、
男の子の目が大きく見開かれた。
男の子は強く頷き、
灯里の手を引いた。
どうやら男の子も、
図書館に何か重要なものがあると感じているようだった。
手に入れた金属片、そして港町で古参の船乗りから聞いた図書館の噂話。
これらの情報が、
灯里と男の子を図書館へと導いた。
もしかしたら、
図書館にあるという「光る板」に、
異世界の秘密、
そして男の子の過去を知る手がかりが隠されているのかもしれない。
灯里の新たな目的地は、
港町の古い図書館に決まった。