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学校生活withスイ①

 「和也ー、朝ごはんできたって!」

 「……ん……優也。……おはよう」

 まだ夢の中に足を突っ込んだままのような状態でベッドから体を起こし、兄・優也に視線を向けた――その瞬間。

 「うわああああっ!スイさんっ!」

 ドアの前に寝転がっていたスイの顔を、優也が見事に踏み抜いていた。

 「スイサン……? なにそれ?」

 「えっ……いや、なんか……水産資源が日本から消える夢を見て……」

 「ブハッ……! なんだその夢! あ、今日の朝ごはん、焼き鯖あるぞ。よかったな〜水産資源豊富な日本に生まれて」

 笑いながら優也は部屋を出ていった。とりあえず、うまくごまかせたらしい。

 「へえ、今のがお兄さん?顔、結構似てるね」

 「まあ……たまに言われます。……それよりすみません。兄が頭を踏んじゃって……」

 そう言って頭を下げると、スイはどこか不思議そうな顔で和也を見上げた。

 「なんで君が謝るの? 踏んだのはお兄さんで、しかも俺の姿なんて彼には見えないのに。誰も悪くないでしょ」

 「……まあ、そうなんですけど」

 「和也くんってさ、引くほどお人好しだよねぇ。俺のことも結局部屋に置いてくれてるし」

 スイが呆れたように笑った。

 「……いや、それあなたが言いますか」

 「ふふ、たしかに。……でもね、ちょっと心配になるよ。そんな調子だと、いつか悪い人に付け込まれそうで」

 「……言っておきますけど、俺はあなたをまだ完全に信用してるわけじゃないですから」

 そう言い捨てて部屋を出る。スイは楽しげな顔でその背中を追いかけてきた。

 「うわー、ワインセラーあるじゃん。ウィスキーもこの品揃え……え、ピスコポルトンまである〜。タリスカーに白州、焼酎コーナーは……え、3M揃ってるし、兼八も……すごいな」

 和也が黙々と朝食を食べる横で、スイはまるで宝探しをしているかのように酒棚を物色している。

 「俺、この家の子に生まれ変わりたい」

 「ブフォッ!」

 思わずお茶を吹き出して咳き込んだ。

 「どーしたんだよ? 大丈夫か?」

 優也がティッシュを差し出す。

 「う、うん……咽せただけ」

 とっさに誤魔化しつつも、視線はスイに釘付けだった。

 ……万が一こんな弟ができたらと思うと、背筋が寒くなる。


 朝食を済ませ、身支度を整え、家を出る前にスイに向き直る。

 「いいですか。学校についてくるのは許しますが、俺があなたに話しかけられても、周りに人がいたら無視します。二人きりのとき以外は、むやみに話しかけないでください。あと、勝手に触って入れ替わったりしたら、もうこの家には入れませんから」

 「もう何回も聞いたよ〜。大丈夫。約束は守るって」

 スイがひらひらと手を振るのを見送りながら、和也は制服の襟を正す。

 ……信じていいものか。不安しかない。

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