奇妙で美しい少女
とまあ、驚愕の事実を知った俺だが時間がある日に基礎魔法を教えてくれることになったので、それなりに楽しみである。
さて、目的の翼竜肉と野菜は買えたから帰路につこうとしたとき、森の方から異様な圧を感じた。それも、"死"を濃厚に味わうほどを。
(この圧は、俺でも分かるがこれは森全体、もしかするとこの国全体を覆っているかもしれない。それなのに、俺以外の人はなんで余裕なんだ?)
そんなことを考えながら、必死に足を動かし森を方へ移動していった。奥へ行くごとに圧も強くなっていき、俺は滝のような汗を流しながら進んで行った。折角買った食材も持つのがキツくなり、道中に落としてしまった。
森の奥へ移動して数分が経った時、暗くなっていた空間もどんどん明るくなっていった。そして空間が開け、大きい湖がある場所があった。
そこはとても大きくきれいだった。360°すべて自然に包まれており、湖の水も透き通るほど透明な水だった。だがきれいであるとともに、異様でもあった。そこには、日光が射していたのだが、それが一つの場所に集まってるみたいだった。
だから、俺は日光が集まってる場所に向かって移動した。すると、そこには一人の少女がいた。
ショートカットで髪の色は白に近い銀であり、瞳は金である。まるで神の如く美しい容姿であった。
その少女は水浴びをしていたのだろう。こちらを向き、驚いたように目を開きこちらを見ていた。
そして一瞬で顔が赤面になり、彼女からとんでもない強風が吹いた。俺は吹き飛ばされた体を起こし、土煙が濃い方に目を向けた。すると、彼女はその一瞬で着替えたのか、黒ベースの服に黒のローブを着ていた。
そして彼女がこちらに来て話しかけてきた。
「大丈夫?ごめんね、突然人がしかも男の子が来たもんだから。恥ずかしくて...」
「こちらこそごめんね、なんか圧の強い方に向かうと君がいたんだ。」
俺が何故来たのかという経緯を話すと彼女は驚いた表情でこちらを見ていた。
「えぇ、まさか私の魔圧を探知できたの!?すごいね、君。」
「探知できたらすごいの?確かに他のみんなは気にしてないのかいつも通りだったけど」
「それは探知できてないんだよ。自分でいうのもなんだけど、みんなが私の魔圧を探知したら騒ぎどころじゃないよ。でもなんで探知できたのかな?なんか思い当たる節はある?」
俺は過去を振り返って見るが思い当たることなんてなかった。
「うーん、ないなー。でも、どうして探知できたらすごいの?」
「それはね、魔圧は同じ次元、レベルまたは、そのレベルに到達できるであろう存在しか探知できてないんだよ。君は後者だね。」
「へー、そうなんだ。」
「おっと、もう時間がないね。ごめんね、そうそう私の名前は"アルゴス"。君の名前はー?」
そういいながら、空を飛び始めた。
「僕の名前はユーグリムド・エルメシア。」
「ユーグリムドだね、じゃまた会う日まで。」
そういいながら都市方面に飛んでいった。これが俺が奇妙で美しい少女アルゴスと出会って日だった。
???「そうそうそう、言うの忘れてたけど、ユーグが気持ちと話すときで一人称が違うのは周りの目を気遣ってるからだよ。」




