9
告白する心の準備なんて持ち合わせていなかった。あなたの事を好いている人間がここにいる、ただそれを伝えたかった。
その時、着信音が鳴り響く。
「あ、ごめんね。私だ」
桜井さんが電話に出る。
「もしもし」
「桜井、遅い。早く来てよ。」
「あ、ごめん、ごめん。」
「帰っちゃいそうなのよ。イケメン男性陣が」
「はいはい、もう近くにいるから」
「お願い、早く来て。」
「了解」
そう言って彼女は電話を切った。
「ごめんね、高坂さんが速く来なさいって。そろそろ行こうか。」
「はい。」
今度は僕から手を差し出した。
桜井さんは僕の手を取ってくれた。
「水野君、道分からないでしょ。」
「あ、はい。」
かっこよく彼女の手を引いて走りたかったのに失敗だ。
「よし、行きましょうか」
こうして僕たちは二人きりで手を繋ぎ、居酒屋まで向かったのであった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
一人でも多くの方に読んでいただける事が励みになっております。
まだまだ至らぬ点が多くあると存じますので、お気軽に感想をお送りいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
次回をお楽しみに。