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夜、僕たちは飲み会の会場となる居酒屋に向かっていた。
「あ、あれ?」
「どうした、水の。忘れ物か?」
心配してくれているのか佐藤君が話しかけてくれた。
「あぁ、うん。」
僕は佐藤君にそう答えると、全員に向け、こう言った。
「すみません。忘れ物を取りに1度戻るので、皆さんはお先に向かわれていて下さい。」
僕がそう言うと高坂さんから声をかけられた。
「水野君、ついでに桜井の事、引っ張って来てくれない?」
「桜井さんをですか?」
「そう。あの子ったら来てってあれだけ頼んだのに。」(桜井がいないとイケメン社員帰っちゃうじゃない。)
「はい、分かりました。」
「なるはやで、よろしくね」(桜井、はよ来い。)
「はい」
僕は速足でオフィスに戻った。エレベーターに乗り込むと、今朝の出来事が思い出される。
「はい、出来ました。」
彼女に耳元でそう囁かれた時の事を思い出すと、今でもドキドキする。
(桜井さんは僕の事、どう思っているのだろう。)
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