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第1章 ランチへのお誘い

 微ざまぁ専門なので、大きなざまぁはありません。

 ヒロインはクズ親、クズ家族に辛い目の遭わされていますが、幸せになります。

 読んで頂けるとうれしいです。

 異世界の話なので、厳しい突っ込みや感想はしないでもらえると助かります。


「ノーラン、お昼を食べに行きましょう!」

 

 午前中の授業の終了の鐘の音と共に、今日も今日とて幼馴染みのレイラが、隣の女子クラスからこの男子クラスへとやって来た。

 

「やあ、いらっしゃい、ハーディン侯爵令嬢」

 

「お邪魔します、バートランド様。今日もお昼をご一緒してもよろしいでしょうか?」

 

「もちろん大歓迎ですよ。美しいご令嬢達と一緒にランチを頂けるなんて、こんな幸せなことはありません。飽き飽きした学食のランチでさえ、高級レストランで超一流のシェフの作った食事のように感じられます。本当にありがたいことです」

 

 カーティエ伯爵家令息のノーランの親友、ガイルダート侯爵家令息のバートランドが、ノーランに代わってレイラにこう応えた。

 そしてノーランがまだ何の意思表示も示さないうちに、一緒に昼食をすることが決まった。しかしこれは既定路線、お決まり事なのだ。

 

 ノーランは無言のまま立ち上がると、バートランドの後ろから力なくついて行った。

 そう、入学してから二年以上ずっと、彼らはランチを共にしているのだ。

 もっとも半年前までは、ノーランとバートランドは迎えに来てもらう側ではなく迎えに行く側だったが。

 

 というのも、バートランドには一つ年上のミラーエ伯爵家令嬢のローザという婚約者がいたのだ。そして、その婚約者が半年前に学園を卒業するまで、彼らの方が婚約者のいる教室へと彼女を迎えに行ってから食堂へと向かっていたからである。

 

 そしてそこに何故レイラまで加わるようになったのかというと、たまたま彼女がローザの生徒会のかわいい後輩で、しかもノーランの幼馴染みだったからだ。

 この四人で一緒にランチを共にすることは、ある出来事でノーランとレイラの関係がギクシャクするようになった後も、何故かずっと続けられていた。

 

 そしてバートランドの婚約者であるローザが卒業した後は、バートランドとノーランは直接学食へ向かうようになり、そこでレイラと合流するようになった。

 

 

 しかしそれからひと月ほど経った頃から、レイラが教室まで彼らを誘いに来るようになっていた。

 しかも二対一ではまるでレイラにが男二人を手玉に取っていると思われてしまうからと、必ず友人を伴って。

 態々迎えに来なくても食堂で待っていればよいのにとノーランは思う。

 しかしこれまでに何度か、彼がトンズラして食堂に現れなかったことがあったので、レイラはそれを阻止しようとしているらしい。

 

 正直ノーランは毎回本気でトンズラしたいと思っていた。以前、弁当を持ってきたから庭で食べると言い訳を告げたこともあった。

 しかし、その時レイラはなんとこう言ったのだ。

 

「まあ、外でランチだなんてハイキングみたいで楽しそうね。

 校舎裏の土手なんかどう? 

 あそこは景色が綺麗そうだし、今日はそよ風も吹いていて外は気持ち良さそうだし」

 

 するとバートランドもすぐにそれに同調した。

 

「それはいいね! 

 僕とレイラ嬢でサンドイッチを注文して持って行くから、ノーランは先にそこの、ええと、ジョーンズ子爵令嬢と先に行っていてくれないか」

 

「えっ?」

 

「エマ様もサンドイッチセットでよろしいかしら?」

 

「ええ。でもレイラ様にそんなこと……私がやります」

 

 さすがにジョーンズ子爵令嬢は戸惑っていた。そりゃあそうだろう。いくら学園内では身分差無しの平等がモットーとはいえ、格上侯爵令嬢であるレイラにランチを運ばせるだなんて。

 しかしレイラはニコニコしながら、

 

「気にしないで。それよりせっかくなんだから、できるだけお二人でお話しする時間をとってね」

 

 と言ってバートランドと共に注文をするためにカウンターに向かって行ってしまった。

 人前でそう言われてしまっては、ジョーンズ子爵令嬢に恥をかかせるわけにはいかず、ノーランは彼女を伴って校舎を後にした。

 

 レイラとバートランドの行動はあからさまだったのでノーランとエマもとても居たたまれなくなった。

 その時の二人の気まずさといったら半端なかった。それ以来ノーランは脱走を試みることはなくなったのだった。

 読んで下さってありがとうございます!

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