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とある小説シナリオの評価と反応

作者: 一色強兵

2017年06月11日に自ブログにアップしたもの


総理が2020年という期限をつけたことで一度沈静化しつつあった改憲論議がまた活発になった。

たぶん山が動くときは、一気に動くような気がする。そしておそらくそれはある意味、民意とはちょっと違うのかもしれないが、避けられないものなのではないだろうか。


現在の日本国憲法が規定している日本の姿は、一見すれば「無謀」なものである。

非武装独立で世界的に豊かな国でいられる、理想論としては美しいが、残念ながらそんな存在を許してくれるほどこの世界は甘くない。

この70年、世界中で戦火は絶えることは無く、力の行使による事実上の国境の変更は当たり前のように起こっている。その度に難民が大量に発生し、その救済が問題になるものの、不幸な連鎖はいつも止められない。これが一つのパターンである。


結局世界は本質的には二〇〇〇年前の三国志の時代とそう大きく変わっていないのだ。

力が無ければ何をされても文句は言えない……昔ほど大っぴらでは無くなったが、表面にこそ現われていないが、これが今でも大手を振ってまかり通っているのが実態だ。


日本と日本の周囲がそういう世界からこの70年間隔離された存在でいられたのは憲法の前文や9条の存在ではなく、世界有数のアメリカ軍がそこに存在していたからだ。

で、当初は日本が軍事的に無力な存在であることを欲したアメリカがこの日本の地位を認めてくれていたのでよかったのだが、何しろ国防という莫大な金のかかる問題をアメリカに肩代わりしてもらい、その分を殖産興業に生かせられる日本の旨みは大きく、憲法制定時には誰も考えなかった、GDP世界第2位(今は中国に抜かれて第3位)なんていうポジションに入ってしまった。


こうなると日本は誰がトップに立つとしてもアメリカの有権者の心情を考えないわけにはいかなくなる。

「アメリカよりも豊かな国をなんでアメリカ人が身体を張って守ってやらなければならないのか」


事実、憲法を棚上げして再軍備を図ったのは、常に「対米外交」のため、と言って良かった。

今、アメリカはかつてのような世界随一という存在では無くなり、経済的にはかなり普通の国になってきている。そうなった一因は、アメリカ以外のすべての軍事費を足してもまだそれを超える存在である、巨大な軍事力の維持だ。世界の警察官になるというのはさすがのアメリカにとっても重荷に過ぎたのである。

そういう状態のところで、中国が経済的な躍進を武器に国際舞台で自国の国益を声高に主張するようになり、このままいけば空文になるかもしれなかった憲法ににわかに関心が集まることになった、というのが今までのだいたいのあらすじということになろう。


小説としてこの先の展開を描くとするなら、手に汗握るハラハラドキドキの展開を望むならば「改憲阻止」を貫徹し、ついでに憲法の初志貫徹で在日米軍を撤収させ、自衛隊も全部やめて、素っ裸で世界の面前に立つ、強姦覚悟でパンツを脱ぐ、ってのが一番だろう。


そこまでのハラハラはいらないなら、軍国主義が復活し、大東亜共栄圏を今度こそってやるシナリオだろうか。

昔の夢よもう一度って人気があるからね。


小説の原案として持ち込んだ場合、出版社の受けが最も悪そうな、つまりもっとも地味で波風がたたないのは、身の丈にあった防衛力の整備ってのを念頭に、基本現状をみんな追認し、余計なことは一切しないっていうシナリオだろう。編集が怒りを抑えた口調で冷たく言うのが目に浮かぶ。

「それってどこが面白いんですか? 説明して頂けませんか?」と。


まあこれは小説では無くリアル世界のお話なので無用な争いは持ち込みたくないのが嘘偽りのない私の心情なのだが、どういうわけか、小説ではないリアルの話だと分かった上で、「ハラハラドキドキ」シナリオが好きな人が多いらしい。いったい何を望んでいるんだろう、あの人達は。

日本政府がウクライナにGPS作動式風船爆弾を百万発供与を決定、なんてシナリオでどうでしょ?


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