大金当たるけど翌日なくなる奴
B…ボケ T…ツッコミ
B「ああ~、どないしたらいいのや」
T「あれ、なにかあったのかい?」
B「カネが、カネが消えたんや。どこにもあらへんのや!」
T「えッ! ゆうべ年末ギガビッグの当選金見せたるわって札束積んで自慢しまくってた、あのカネが消えたのかい?」
B「そうや、友人知人にその辺の通りすがりまで集めて貧乏人どもに拝ませてやった、そのカネがや!」
T「どうして無くなったんだい?」
B「それがわからんのや! テーブルに積み上げたカネを肴に飲み会やって、寝落ちして朝になったら、どこにもカネがないんや!」
T「う~ん、それは不思議な事件だ。ひょっとして怪盗ルパンの仕業じゃないか?」
B「な、そう思うやろ? ワイも最初はそう疑ったんや。でも、そんなわけあらへん。ルパンが犯人のはずないんや!」
T「どうしてそう思うんだい?」
B「あのな、たしかに難攻不落の金庫にでも入れといたらルパンが挑戦しにくるかもしれん。けど、カネはテーブルの上に置きっぱなしだったのや! そんなもん、プライドの高いルパンが盗っていくはずないやろ!」
T「いやいや、がっちり戸締まりして監視カメラを作動させとけば、ルパンもその気になるんじゃないか?」
B「その辺はワイも考えてたからな。しっかり用心して鍵はかけず、窓は全解放や。当然監視カメラも切っといたで?」
T「な、なるほど。そんな現場ならプライドの高いルパンが来るはずないか……」
B「そうやろ? くそーッ、なんで盗まれてしもたんや!」
T「まあ落ち着いて。ひとつウナギでも食べに行かないか? ボクがおごるよ」
B「お、おまえ貧乏人のくせにいい奴やなあ! じゃあご馳走になるわ」
T「最近結構な収入があったからね。気にしないで」
B「そういえば昔、ワイがロト7で当たったカネを盗まれた時もおごってくれたし、ラスベガスでジャックポット当てたのを盗まれた時もおごってくれたなあ」
T「あの時も災難だったね。わざわざボクまで呼んでくれて、すごい大金をいろんな人に見せびらかしてたのに、朝になったら全部無くなってたんだよね」
B「そうなんよなあ。で、あの時もおまえが貧乏メシおごってくれたんやった」
T「貧乏メシ……あ、いやいや気にするなよ。友達じゃないか」
B「友達? すまんワイはおまえのこと貧乏人としか見てなかったわ」
T「は、ははは、ひどいな。ほらウナギ屋に着いたよ。おやじさんウナギ特上二人前!」
B「二人前? オレ三人前は食べるけど」
T「そ、そうなんだ? この食いしん坊さんめ。おやじさん、やっぱり四人前でお願い」
B「四人前か。気い使わせてすまんな。さすがに四人前なら腹一杯になると思うわ」
T「おやじさ~ん、やっぱ五人前~ッ!」
B「おいおい、ワイの腹そんなに入らんけど」
T「いや、ボクも食べるから」
B「はあ? おまえウナギなんて食って大丈夫か? 悪いこと言わん、アナゴにしとき」
T「そ、そうだね。じゃあボクはアナゴにしとこうかな」
B「うんうん、そうしとき。ワイがいて良かったな。おまえがウナギなんか食ろうたら、その貧乏な舌がショック死するとこやった」
T「舌がショック死……そ、そうだね。おかげで助かったよ」
B「しかしワイのカネ、いったいどこへ消えてしもたんや」
T「そうがっかりしなくても、またひと山当てればいいじゃないか」
B「うーん、それもそうか。じゃあ今度は海外のキャリーオーバー何十億ってロトくじでも買ってみるかな」
T「キミってやたらくじ運強いみたいだし、きっと当たるよ」
B「そやな。そしたらおまえもまた来いや。貧乏人に札束のピラミッド見せたるわ!」
T「うん、それはぜひ呼んでほしいな」
B「そしたら、また何かおごってな!」
T「えっ、ボクが? あ、いや、もちろんおごらせてもらうよ。だって君は、ボクの貧乏な舌の命の恩人じゃないか」
B「せやろ? ワイに返しきれない恩を感じとるのやろ? ちゃんと返させたるさかい、心配せんでええ」
T「は、ははは。そんなに気をつかわなくていいのに」
B「それにしても毎回盗まれてしもうてるから、次当たったらしばらくおまえに預けとくってのはどないかな?」
T「おいおい、そんな大金をかい?」
B「そや。利息は安くしとくで?」
T「利息とるの! それって貸しつけになってない?」
B「それで、もしおまえも盗まれてしもうたら、責任とってワイに倍返しでお願いするわ」
T「何十億っておカネだよね! それ倍返しするの!?」
B「なんや? まさかいくら貧乏人いうたかて、百億や二百億程度の小銭も持ってへんのとちゃうやろな?」
T「いや、持ってるけど」
B「持っとるのかーーーーーいッ!」