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アタシをボランチしてくれ!~仙台和泉高校女子サッカー部奮戦記~  作者: 阿弥陀乃トンマージ
第3章 秋の戦い

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第26話(3) 大胆不敵について

 美花さんがモニターを操作します。エンジ色のユニフォーム姿の集団が映し出されます。

「『大胆不敵』(れい)(しょう)高校か……」

「はい、ここ数年一貫して、同じシステムを採用し続けています。この間の親善試合でも用いていた3-5-2システムです。就任十年で好結果をもたらしたエキセントリックな名将、()(とり)(まな)()監督が導入しました。メンバーについてですが……」

 モニターには、眼鏡をかけた神経質そうな性格の女性から、短く整った茶髪の上下ともに黒のユニフォーム姿の女性に切り替わりました。

「まあ、この辺は不動だな」

「はい、背番号1、GKの紀伊(きい)(はま)慶子(けいこ)さん。派手さこそありませんが、ポジショニングが良く、堅実なセービングが特徴的な方です」

「マジでミスが無えんだよな……」

「参考になる方ですわ」

 後頭部を掻く竜乃ちゃんの横で、健さんが頷きます。

「次は、三人並んだDFライン……中央に位置するのは背番号17、三年生で主将の羽黒(はぐろ)百合子(ゆりこ)さん。右は三年生の背番号3、(かん)(ちく)いつきさん。左は二年生で背番号16の長沢(ながさわ)(つぐ)()さんの並びです。羽黒さんはそれほど長身ではありませんが、鋭い読みとカバーリング能力に長けています。寒竹さんはユース代表にも名を連ねる実力者です。当たりの強さは紛れもない全国レベルですね。長沢さんは元々はMFでしたが、高校には入ってからは現在のポジションで起用されることが多いです。寒竹さんは強気な攻め上がり、長沢さんは精度の高い左足のキックで、それぞれ攻撃の起点にもなることができます」

「春までレギュラーだった村山はやっぱり出ねえのか?」

 監督からの質問に、マネージャーが即座に答えます。

「まだ怪我が長引いているという話もありますが、練習には参加しているようなので……」

「連携面の方を重視したか」

「恐らくそのようですね」

「村山の能力も必要だと思うが……ぶっつけ本番は変人の江取さんでも怖いか」

「変人って……」

 監督の言葉に私は苦笑します。モニターには派手な金色で短髪の女性が映ります。

「こちらはダブルボランチの一角を務める、背番号5の米原(よねはら)純心(じゅんこ)さん、二年生。守っては高いボール奪取能力を発揮し、攻めては精度の高い右足で攻撃の起点となり、自らゴールも奪える……攻守両面において隙が無いプレーヤーで、ユース代表常連というのも頷けますね。滋賀県の出身で付いたあだ名は『琵琶湖のダイナモ』です」

「あだ名はともかくとして、実力は間違いねえな……」

「強烈なミドルシュートも持っています……」

「あの鋭いサイドチェンジも厄介だしー」

 監督の呟きにキャプテンと成実さんがそれぞれ苦い表情を浮かべます。次の選手の紹介となります。強烈な個性を持った女性が映し出され、部屋が少しどよめきます。

「こちらはその米原さんとコンビを組むボランチの背番号14、合田(ごうだ)由紀(ゆき)さん、二年生。一年の頃からDFなどで試合に出ていましたが、現在は中盤で起用されていますね。中盤の掃除人のような立ち位置ですね。闘争心を前面に押し出したプレーでピンチの芽を徹底的に摘み取っていきます。ファウルすれすれのタックルをしますね」

「まあ、前も言った気がするけどまずその髪型だぜ、赤紫色のソフトモヒカン?ってやつか」

「令正高校の校則はどないなっとねんっちゅう話やんな」

「夏の時とはまた髪色違うよナ? 毎度度肝抜かれるゼ……」

「……前も言ったけど、三人には言われたくないと思うし」

 成実さんが竜乃ちゃん、秋魚さん、ヴァネッサさんに対して苦笑を浮かべます。

「髪型は突っ張っちゃいるが、プレー自体は至ってシンプルだ、守備の要だな……続きを」

「はい、右のアウトサイドは背番号15のこの方……大和(やまと)あかりさん、三年生です。本職はボランチですが、現チームではこのポジションで起用されることが多いです。攻撃力に関しては正直物足りない部分がありますが、それを補っても余りある献身性が高く評価されています。対して左のアウトサイドはユース代表常連である背番号10の大野田(おおのだ)(あんず)さん、二年生。何と言っても、足元の高い技術が武器です。本来はトップ下でのプレーが得意な選手なので、このポジションはやや不慣れなのですが、ボールを持たせると厄介なプレーヤーですね」

「……桃ちゃんの同級生、背番号18の三角(みすみ)カタリナさんは先発じゃないのね」

「……そうみたいだね」

「大野田の方をより信頼しているってことだろうな。途中投入する気かもな」

 聖良ちゃんと私の呟きに監督が反応します。

「途中で出てこられると厄介だろうなー」

「確かにそうですね……」

 池田さんのぼやきにキャプテンが苦笑します。モニターには茶色のミディアムボブの髪型の女性が映ります。

「そしてトップ下に君臨するのがこの方……背番号7、椎名(しいな)妙子(たえこ)さん、三年生。旅行でもするかのような優雅な足取りから、突如として相手ゴール前に顔を出して、決定的な仕事をこなす選手です……中学時代からその名は広く知られていますね」

「ワンタッチで局面を変えられることの出来る選手ね……」

 輝さんが腕を組みながら呟きます。

「最後は2トップですね。左はこの方、背番号11の武蔵野(むさしの)(みやび)さん、三年生。激しいチェイシングで味方の守備を助けるだけでなく攻撃時には体を張ったポストプレーから味方の背局的な攻め上がりを促します。決定力は高くはありませんがまた厄介なプレーヤーです」

「ファウルをもらうのが上手いんだよナ……その辺が面倒だナ……」

 ヴァネッサさんが腕を組んで頷きます。

「……右は背番号13の(なぎさ)(しずか)さん、オフ・ザ・ボール、つまりボールを持っていない時の動き方が絶妙な選手です。ボールのもらい方、スペースの作り方などに秀でていますね。北陸の出身で、付いた異名は『日本海の静寂』です」

「パワー重視やスピード特化ともまた違うタイプのストライカーさんですね……ふふっ、この間の駆け引きはなかなか楽しかったです」

 真理さんが笑みを浮かべます。

「……双方、こういうスタメンです」

 美花さんが監督に伝える。

「まあ、当たり前ではあるが、お互いにベストメンバーにほぼ近いわな」

 監督が苦笑する。

「はい」

「控えの選手層も悪くない……ベンチワークも要注目だな」

「そうですね」

「絶対女王対大胆不敵……さてどちらに転ぶか、しっかり見させてもらおうじゃねえか。お前らもしっかりと観戦しろよ?」

 監督の言葉に私たちは頷きます。常盤野学園対令正高校戦が開始されます(録画ですが)。

お読み頂いてありがとうございます。

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