第七章 5-2
こんばんは。碧海ラントです。
すみませんが、明日もつづけて、5-2を直接更新します。
それでは、本編をどうぞ!
にしても、ベアトリスとローザがまさか従姉妹同士だったなんてな。しかし二人の顔をよく見ると確かに髪色なり顔の形なりがよく似ていることが分かる。
とすると、ローザは公爵家の片割れ、ってことになるのか? 以前いい家の娘だろうとか何とか言ってやったことがあるが、ある意味当たっていたのか? もっとも、家柄がいいこととその家が裕福であることは同値ではないが(ごめんカッコつけた)。
一方ベアトリスはなおも親父に詰め寄られている。
「そ、それは……」
言いにくそうだ。まあベアトリスにそのことを言った奴はただでは済まなさそうだからな。
「言え。言え」
どうでもいいけど「言いなさい」とか「言うんだ」とかもうちょっと促すような言い方はできないのか? 言え、言えって高圧的すぎんだろ。
「い、いや、それは」
「そうか。ソレハ男爵か。あの忌々しい男め」
いやいやいやいや誰?
「ち、違います」
「成る程、では誰だ。言え」
また言え言えコールだ。
「おいおっさん」
「!!!!!!!!!!!!!!!?????????????????」
過剰反応!!
「いい加減止めてやれよ。ベアトリスが困ってんだろ」
「下賤な民は黙っておれ」
「誰が下賤だ! 誰が下民だ! んなことはどうでもいい!! ベアトリスを解放してやれ!」
「公爵家の内部事情に××××××××ごときが口を出すな」
コイツ!!
背後からはボディーガードたちが次々と詰め寄ってきており、そいつらを避けながら俺は話している。
「ベアトリス! 言葉にしろ。声に出すんだ! 自分の気持ちを!!!」
ベアトリスは泣きそうな顔でフリーズしているだけだ。
ここで俺がベアトリスに何かを強制するようなことがあれば、俺はこの公爵と同類になってしまう。俺はあくまでフォローするだけで、ベアトリスが自分で「助から」なければならない。俺は言葉で促すことしかできないのだ。
だから、俺は反駁に一瞬詰まってしまった。
それが災いした。
「兎に角、ヴェンツェルとはもう会ってはならない。いいか。これは公爵家の一員としてのとしての義務だ」
「い、いや、そ、そんなことは」
「どうした。お前は公爵家の一員だろう。ならば当然のはずだ」
「で、でも……」
ベアトリスは一秒ほど迷った後、このタイミングで俺の助言を受けた。
「い、嫌ですバシッッッッッッッッッ!!!!!」
ベアトリスの頬を、公爵が張り倒した。




