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助言

「…そっか。まずサポメンに選ばれたのはおめでとう。プロのライヴに、演者として出れるなんてすごいじゃん!見に行くからね!」


ここまで純粋に喜んでくれるなんて、やっぱり光来とやってきてよかったと思った。


「…ありがとう。」


「選ばれたからには、頑張ればいいと思う。…でもギターのサナダさんだっけ?わたしなら、好きになったり付き合うとかないかな…。」


「…え、なんで?」


「だって売れてるバンドのギタリストでしょ?モテるに決まってるし、付き合うってなったら浮気の心配、常にしてなきゃいけなそう。」


「…そうかな?」


わたしは彼の態度からするに、そんなことはないんじゃないかと思ったので、光来がそういうとは意外だった。


「…まぁそれは深く考えないでいいんじゃない?自然に任せる感じで。…で、お父さん?…主催者に掛け合ってたっていうのは、ショックだよね。」


「…うん。」


正直、ここに来るまで、これを光来に伝えようか相当迷った。でも、言わずにはいれなかった。このままだと自分自身が押しつぶされそうだった。


「…でもさ玲香、自信持っていいんじゃない?だってさ、全校生に演奏披露した時、スタンディングオベーションだったじゃん?それはみんなの素直な気持ちでそうなって、お父さんは完全に関係ないじゃん。」


確かに、コンクールの件とプリーメルのメンバーに初めて演奏披露した時も、父の顔を立てるため、わたしが評価された可能性はある。ただ一人、サナダさんを除いては。みんなが裏でコソコソしていたかもしれない、この二点に関しては否定できない。けど、学校での演奏には父は全くタッチしていないので、全校生を納得させる結果は残せたと言ってもいいかもしれない。


「…そうだね。」


わたしは光来から少しずつ安心材料をもらうことができた。と、ここで頼んでいたパンケーキとアイスティーが運ばれてきた。光来はパンケーキの上にトッピングされているアイスに、はちみつをとろとろとたっぷりかけた。


「…てかさ、玲香って真面目だよね。」


「え?」


光来がパンケーキをひとくちほうばりながら続ける。


「わたしだったら、自分のお父さんが音楽関係の人なら、踏み台にして、とことん利用する。もし、プロになるならそれが一番近道じゃん。それなのに、どうして遠回りする必要があるの?」


口の横についたはちみつを、光来は指でとってペロッと舐めた。


「わたしは親の力でのし上がってきたって、世間に思われたくない。」


わたしはやるなら真っ向勝負したい。


「…うーん、玲香が売れたとするじゃん?言い方悪いけど、売れるまで努力したかどうかなんて、ネームバリューがある親がいる以上、世間はどうでもいいんじゃない?下手なら叩かれるし、上手いなら持ち上げられる。それだけじゃん?」


「七光りだとかずるいって思われたくない。…怖い。」


そうだ、これがわたしの本音だ。言いながら気づいた。怯えているわたしの顔を、光来は冷静な眼差しで見た。


「玲香がお父さんの子っていうのは不可抗力だし、今後もついてまわる。ぶっちゃけ、どんな道でも表舞台に出ていっちゃえば、叩かれまくると思う。でも実力が伴ってればそのうち玲香自身を見てくれるようになる。わたしだったら気にしないで好きなようにやってやるかな。」


「…そうかな?」


「…そうだよ!」


光来はなんて強いんだろう。それとは対照的に、わたしは他人よりチャンスに恵まれているのに、それを掴む勇気がどうしてないんだろう。光来の意見を聞いて、少しは父を頼りにしてもいいのかなと思った。


「玲香も早く食べな。アイス溶けちゃってる。」


「…うん。」


わたしも光来と同じのを頼んでいたのに、手をつけるタイミングが分からず、アイスがドロドロ溶けていた。口に入れると、濃厚な甘みが口いっぱいに広がった。


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