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淡彩に轍/詩集その2

曼珠沙華

作者: 浅黄 悠

気がつけば目前に

彼岸の報せ


何時どうやって支度を済ませたのか

何処で点した焔なのか

列を成し 連なり

時には唯一つひっそりと


霧雨の黄昏

濡れる緑の中で

残暑を引き留めたマニキュアの爪痕

夏を見送る灯籠


燃え上がる恋慕があり

秘めた祈りがあり

もはや届かぬ者への哀悼があった

雑踏で誰かが落としたまま

染み込んで土に還った

幾多の思いが

時間を掛けて濃く絞られ

ふらりと伸び上がる


歪みも邪念もない純愛の彩

それは漫然と生きる私達にとって

恐ろしく鋭利な美

安穏を犠牲にしてでも

激情を手にするなら構わないと

毒を呑んだ者の果て


夏の罪深さを標すように

細い指は心の臓を抱く


不吉とばかりに目を背ける人々へ

そんな表情をされるのは慣れていると

軽やかに息を継ぎ

音も無く傾ぎ

褪せる兆候を自ずから手繰り寄せた

思い直して振り返った時には

その情熱は見る影も無く枯れている

束の間の火花


読んで下さりありがとうございます。

3年程前にも彼岸花を題にして書いた詩があるので宜しければそちらもどうぞ。

(また書いてしまいそうな気もする)

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