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ラストダンジョン⑥

「闇に飲み込まれ、永遠に彷徨い続けるが良い―――ダーク・ディメンション!!

 これは闇の最上級魔法だ。人間には制御できない。それ故に、防ぐことさえもできぬ。時空の狭間に消えてしまえ!!」

 突如、シャルルの眼前に空間の割れ目が発生し、そこに向かって突風が吹き始めた。突風は瞬時に烈風と化し、激しい渦を巻く。室内の気圧が一気に下がり、凄まじい吸引力が周囲の物を割れ目へと引き寄せる。風切音に紛れ、ベリアムの哄笑が響き渡った。


「―――ブレイク」

 しかし、シャルルがそう呟いた瞬間、漆黒の渦が掻き消え、吹き荒れていた突風も見事に止まった。

 文字通り、目が点になるベリアム。その表情から、何が起きたのか、全く理解できていないことが読み取れる。

「オ、オマエ・・・一体何をした!?」

 戦っている相手にする質問ではないが、シャルルは仕方なく答えてあげた。

「魔法を強制キャンセルしただけだよ」

「そ、そんな魔法・・・そんな魔法は聞いたことがないぞ。ま、まさか、古代魔法なのか?」

「え・・・えっと、僕が作った」

「は?」


 最下層に辿り着くまでに、シャルルはレベルが何度もアップした。それに伴い、何度か新しくスキルも修得したのだ。その中に、「クリエイト」というスキルがあった。

 これは、「何が起きるのか、どう使うのかを明確に決め、意識の中で術式を構築し、名前を付けることによって新しく魔法を作る」というスキルである。チートスキルのようにも思えるが、実際には自分のステータスとの関係もあり、異常な効果を発生させる魔法は作れない。しかも、あれこれと制限が付くことも多く、意外に使い勝手が悪い。


 この「ブレイク」もそうだ。有無も言わせず魔法をキャンセルすることが可能ではあるが、1人に対し、1日1度しか使えない。つまり、ベリアム相手には、もうこの魔法は使えないのだ。


 ベリアムがワナワナと震える。

「な、なんとデタラメなヤツだ・・・

 だが、我は先代の勇者パーティにさえ倒されなかった魔王。負けるはずがないのだあ!!」

 そう叫ぶと同時に、杖をシャルルに向けた。


 杖の先端から巨大な雷が発生し、バリバリと轟音を立てながらシャルル目掛けて襲い掛かる。それを咄嗟に銅の剣で受け止めたシャルルは、雷を側面の壁に弾き飛ばした。盛大な音とともに壁が崩れ落ちる。そして、キンという甲高い金属音とともに、剣先が地面に突き刺さった。衝撃に耐えられなかったのか、銅の剣が根元から折れたのだ。


「ワハハハハハハハ!!武器が無くては、もはや防ぐ事はできまい」

 勝利を確信したベリアムが巨大な口を開き、高らかに笑い声を上げる。

「あーあ、結構気に入ってたのになあ・・・」

 シャルルはそう呟きながら虚空に手を伸ばし、アイテムボックスから聖剣を取り出した。


「・・・え?」



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