プロローグ
―――200年前。
突如現れた魔王ベリアムは、全世界に対し宣戦を布告した。
「全ての生物を蹂躙し、全ての大地を腐界に変える」と。
当然ながら、全世界は魔王ベリアムを討伐するため、本拠地であるダンジョンへと大軍勢を派遣した。その数約3万。しかし、強力な魔物による物理攻撃、そして魔王による強大な魔法攻撃によって、魔王討伐軍は数日で壊滅。生きて帰った者はほとんどいなかった。
その勢いのまま魔王軍は進行。各国は手元に留め置いた最高戦力を次々投入したが魔王軍の勢いは止まらず、世界は滅亡の危機に直面した。
誰もが諦めかけたその時、聖女の頭の中に、女神テミスの声が響き渡った。
<悪を滅ぼし、この世に平和をもたらす勇者がいる。彼の者を探し出し魔王を封印せよ>
神託を受けた人々は勇者を見付けだし、最高の武具、最高のパーティメンバーを招集する。その後、5年の歳月を費やし、勇者のパーティはついに魔王ベリアムを封印することに成功。再び世界に平和が訪れた。
しかし、人々の歓喜の声に迎えられた勇者は告げた。
「確かに私は魔王を封印した。しかし、完全に滅した訳ではない。
今から200年後、封印は効力を失い魔王は復活する。その時、再び勇者が現れ、今度こそ完全に滅ぼすだろう」と。
全世界の中心となって魔王と戦った、超大国ユグロード王国。その王族や一部の貴族によって勇者の預言は受け継がれ、やがて、200年の時が流れた・・・