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プロローグ

「ふぁ~」


早朝、日も出て間もない時間帯だというのに招集がかかった。


「・・・眠い。」

「早く顔洗ってきなさい。」


同じ部屋に住んでいる仲間がそういった。私はただただ中途半端に開いた目をこすりながら愚痴をこぼす。


「だって、こんな時間に起こされるなんて聞いてないよ・・・。また王様はなにか始めるわけ?」

「私だってわからないよ。噂に聞くとうちの戦力が減ってきたからその補充をするだとかなんだとか。」

「補充?」


寝起きのせいか、彼女の言っていることが理解できない。補充とは一体どういうことだろう。まさか、これから村でも襲いに行くのか?


私の疑問はどんどん膨れ上がっていく。


「私だってよくわからないわよ。あくまで噂なんだし。とりあえず、早く支度をして。」

「はーい」


考えるのはやめよう。とっとと支度をして適当に指示に従えばいいだけだ。あまり戦いたくないけど。


~~~


城前の広場に集まると、そこには多くの兵士が集められていた。


「うわ、すごい人数。」


一体、これだけの人数を何に使うのだろうか。ますますわからなくなる。すると、城の中から人が現れ、いきなり話し始めた。


「これから我が国の戦力の補充を行う。気づいてると思うが、我が国の戦力は戦いが行われるたびにどんどん減ってている。そのため、この機会を使い別の世界から人間を呼び寄せることにした。」


そういった王の横にはとてもでかい装置があった。

別に世界から人を呼ぶ?なに馬鹿な事を言っているんだ。私達はこんなわけのわからないことのために呼ばれたのか。


「はぁ・・・」


思わずため息が漏れる。


「この装置はある程度の調整はできるようだが、どのような人間が来るかまではわからない。中には好戦的な人種が来る可能性もある。その時のために我が国の兵士たちを現れた。もし反抗的な態度を見せたら円料なく殺してほしい。」


仮にこの装置が動くとして、これで呼ばれた人は大変だな。いきなり知らない世界に連れてこられて戦力として使われて、もし、反抗的な態度をとったら殺される。あまりにも理不尽すぎて笑いが出てきそうだ。


「ではすぐにでも始めるとしよう。」


そうして、あのでかい装置は禍々しい音を立てながら動き始め、音はどんどん大きくなっていく。この装置の影響だろうか地面が少し揺れているような気がする。


「これ本当に大丈夫なの?音とか振動が尋常じゃないんだけど。」


私は少し怖かった。下手したらそのまま爆発する可能性だってある。そんな爆発に巻き込まれるのはゴメンだ。


「わからないよ。ただ少し危険かもね。」


私の隣りにいる彼はそういった。彼は私がこの軍に入ったときからの仲で名前をザックと言う。この男は顔もよく、すごい仲間思いであって、性格もめちゃくちゃいい。まぁ、つまり私は彼に対してかなりの好意を持っている。しかし、私達はこの国の兵士だ。自分の女として彼を見るわけにはいかない。なので私と彼は同僚以上の関係にはなっていないのだ。


ザックはそういって笑っている。・・・絶対にこの状況にワクワクしてるよね。すると、彼はなにかに気づいた。


「あ、煙が出てきた。」


装置を見てみると本当に煙が出ていた。


「これは本当にやばいかもしれない」


私はそうつぶやいた。そして、その瞬間あたりは眩しい光に包まれた。


「うわ!なに!?」


急な選考によって周りが全く見えない。しばらく混乱していると、徐々に目が見え始める。


「失敗?」


そう思った瞬間、声が上がった。


「成功したぞ!」


成功?装置は壊れたのに。そう言ってあたりを見渡すと、広場には人がいた。装置は壊れたが、一応人を連れてくるのには成功したようだ。


「よくぞ、我が国へ来てくれた。あなた達にはこれからこの国の戦力として協力してもらう。」


ああ、可哀想に。協力してもらうと言ってるが、この人たちには拒否権なんてない。でも、まぁこれからよろしくね。

私はそのままいつでも戦えるよう構えた。こんなに人数がいるんだ、この状況に不満や反論をするものだってでくる。私はそいつらを殺さなければいけない。

・・・。しかし、なにも声をだすものはいなかった。全員この状況を素直に受け入れたのか?それとも、まだ自分たちがどのような状況にいるのか理解ができていないだけなのだろうか。警戒を解かずにいるとなにか声が聞こえてきた。・・・うめき声?


「ぎゃああああああ!!」


疑問に思っていると次は叫び声が聞こえてくる。私は咄嗟にその声のする方を見てみると兵士が召喚された人間に襲われていた。


「こいつら普通じゃないぞ!気をつけろ!」


普通じゃない?どういうことだろう。私は少し怖かったが、好奇心に負けて兵士に近づいていく。

そこには人間とは思えないような生物がいた。いや、見た目は人間だ。しかし、全体的に色がおかしい。意識も内容でただ、低い声で唸り声を上げている。


「アンデッド・・・」


ザックはそうつぶやいた。アンデッドは聞いたことがある。死んだものが生き返ったり、不死の存在であるモンスターだ。


アンデッドを召喚したのか?


「ただ、あのアンデッドなんか様子がおかしい。モンスターと言うには敵意を感じない。」

「じゃあ、あれは一体・・・」

「わからない。ただ、今は逃げたほうが良さそうだ。」


あたりを見渡すと大惨事になっていた。アンデッドは無差別に兵士を襲い、襲われた兵士も意識がなくなったように歩き回っている。召喚されたアンデッドのように。


「だね、こんなの相手にするのは危険かも」


私はザックとともに走り出した。

幸運にもアンデッドの動きは遅く、冷静に動けば逃げれる気がした。なるべくアンデッドと遭遇しないように立ち回り、見つかっても応戦せずに別の道を使って出口まで急いだ。

かなり余裕をもって逃げていたはずだった。しかし、なぜかアンデッドの数は増えていきどんどん囲まれていった。


「囲まれた!」


ザックはそう言いながら剣を抜いた。ここまで来たらもう戦わなくてはいけない。


「とりあえず、全部を倒す必要はない。道を開く程度に倒してすぐに逃げよう。」

「わかった!」


私も剣を抜いて戦う。今の状況で自分が兵士であったことに安心をしていた。日頃の訓練で培った剣術をアンデッド相手に披露するように斬りつける。アンデッドは動きが遅いのでとても攻撃しやすい。

しかし、しっかりと胴体を斬りつけダメージを与えたはずなのにアンデッドの動きはいっこうに変わらない。


「え、なんで・・・。」

「頭だ!頭を狙え!」


ザックはそう叫んだ。この少しの戦闘で敵の弱点を見るけることができたのか。さすがはザックだこんな状況でも冷静に敵の分析をすることができている。やっぱりかっこいいな。

とにかく、頭。頭を狙えばいいのか。私は落ち着いて振りかぶった。


ドスッ


アンデッドはそのまま倒れた。頭を狙わないといけないなんてなんて面倒くさいんだ。

しかし、攻略手段を見つけたからには確実に倒すことができる。そして、一体一体確実に倒していく。数はさっきよりも減っている気がする。だけど、一向に道が開く気配はしない。


「いつになったら終わるの!」


いつまでも終わる気配がない状況にイライラしてきた。なぜこんな目に合わなければいいけないのか。なぜ国はこんなことを始めたのか。しかし、周りに文句を言える人間はいなかった。強いて言うなら眼の前のアンンデッドに怒りをぶつけるしかない。

余計なことを考えていたせいだろうか。汗と血によって濡れた柄が滑って私の手から離れていった。


「あ・・・やば。」

「アリシア!」


ザックはそう言うと私の前にたった。しかし、咄嗟に動いたためアンデッドに対して反撃をするまでの余裕はなかったようだ。私を庇ったザックはアンデッドに体を押し倒された。


「ザック!今助ける!」

「いや、お前は逃げろ!俺がさっきまでいた場所はアンデッドの数も少なくなっている」


私はその方向を見ると。確かにアンデッドの数は減っており、道が見えた。この短時間でここまで数を減らすことができたことに驚きを隠せなかった。


「だけど!私だけ逃げるだなんてできない!」

「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!」

「でも・・・」


ザックを見ると何故かザックは笑っていた。


「大丈夫。俺ならこんな奴らすぐ倒してすぐ追いつける」


誰から見てもこの状況で助かるなんて思う人はいないだろう。ただ、こんなかっこいい姿を見せられたら従うしかないじゃないか。彼の気持ちを無下にしないために私は走り始めた。

後ろからザックの声が聞こえた


「またあとでな!」


私は後ろを振り向かずそのままこの場を去った。私にできることそれは逃げることだけだった。














主人公が異世界にやってくる前、この世界ではどのようなことが起こっていたのか。そんな内容でした。本編は次から始まります。

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