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第六話 何そのハードル? 高くない!?

 もう迷わない。

 俺の俺だけの武器(スキル)に全てを捧げる!


「“スキルオープン”!」


 脳裏に浮かぶ文字列の羅列に当たりをつける。

 狙うは一つ、手持ち火器(ノーマル)。


 そして、手持ち火器(ノーマル)の文字列を注視し解除と願った。


 と、頭の中にこの間と同じファンファーレが鳴った。


 ……微妙に嫌な予感がする。

 だって、あのファンファーレがなって出たのは水鉄砲だった。

 いや、外れと当たりで効果音を分けてるのかわからないのだけど。


 ま、とりあえず確認だ。


「“スキルオープン”!」


 銃器の最下行に次の一文が追加されていた。


 ショットガン(中級)


「ッ――い、よっしゃーーー!!!!」


 キタこれ、これは当たりだろう。

 ショットガンと来た上に中級と来たもんだ。

 当たり以外の何者でもあるまい。


≪チッ≫


「えっ、何? 今舌打ちした?」


≪してませんよ~。とりあえず、おめでとうございます≫


「おう、ありがとよ! 自分の才能を信じてよかったぜ!」


≪チッ≫


「おい、今度こそ舌打ちしたよね?」


≪だからしてませんって≫


 いや、明らかにしてたよね、今。


「……まぁいいや、そんなことよりショットガン、ショットガン~」


 よし、行くぞ!


 ショットガンよ、こい!


 ――瞬間、少し立ちくらみがするほどの何か抜けちゃった感と共に、俺の目の前にショットガンが顕現した。


 一度経験した現象である。今度は慌てずにそれを手に取る。


 持ってみた最初の感想はまず重量感があるってことだった。

 結構重い。まぁ鉄の塊なんだからそりゃそうか。

 では、と。間髪入れずに撃つ体勢に入る。


 早く威力を確かめたかった。

 このショットガン、しかも中級の威力を肌で味わいたい。


 ストックがないので黒光りする本体を腰付近に持ってきて、丁度腰撃ちの体勢をとる。

 ……思えば実銃を撃つのは初めてだ。

 モデルガンですら友達に貸してもらった奴を撃ったぐらいの経験しかない。


 口が渇いているのに気づき、思わず生唾を飲み込む。

 自分で感じるよりずっと緊張しているらしい。


 狙いは水鉄砲で狙った時と変わらず10メートルほど離れた木。


 集中する。

 目線の先の木に全ての意識を傾ける。

 周りの景色が白く溶けて無くなって行き、最大限の集中に達したと感じた瞬間、

 引き金を引――けなかった。


「あ、あれ?」


 何度やっても引けない。

 まるで接着剤か何かで固定されているかのように、引き金が動かないのだ。

 安全装置セーフティか何かが掛かっているのかと思ったが、どうやらそんなこともないらしい。


「何でだよ。どういうことだ?」


≪なるほど。スキルレベルが足りてないようですね≫


 また新しい情報が出たよ。

 何だよ。今度はスキルレベルとやらが必要なわけか?

 どんだけ小出しで出て来るんだよ。


「はぁー、で、それはどうやって上げればいいわけ?」


≪今は無理ですね。銃器スキルが一般的なスキルとして確立してない為、レベルという概念が存在していないので≫


 確立していれば、スキル一覧に載っているこん棒のように横にレベルがつきますと、レーストが続けた。

 何だそりゃ。スキルの確立?


「なんでそんな物が必要なのよ」


≪世の中にこのレベルはこのランクに位置するって基準が必要なんですよ。だから他者がこのスキルを使っている必要があります≫


「マジかよ……。どれくらいの人が使う必要があるんだそれ?」


≪別に人である必要はありません。スキルを持てる動物なら何でもいいのですが。そうですね。レベルが存在する新規のスキルを確立するとなると、最低でも周囲1000キロメートル以内のスキル使用者の内、5%の該当スキル使用者がいる状態まで持っていかないと駄目でしょうね≫


「何そのハードル? 高くない!?」


 100万人居たら5万人は使ってなきゃいけないことになる。

 何、その無理ゲー。


≪当然でしょう。レベルが存在するという事は、この世界でよく使われているスキルで、広く一般的ということでもあります。

 ですから例えば勇者などが持っている、その人固有のスキル等にはレベルがつきません。

 だって、その人意外に居ないのだから、レベルで差をつける必要がありませんので匣の自浄能力が働かないんです≫


 要は皆持ってりゃ生存競争の概念によりレベルという差がそのスキル内で発生するが、そのスキル自体の存在が希少だったり特別であればそれを持っている時点で差がついているのでレベルはつかないと。

 後、レーストが言うには、一度レベルがついたものは後の時代でどんだけ廃れようと消えないらしいね。


「おい、ちょっと待て、だとすればショットガンこれってどうやって使えばいいんだよ!?」


≪だからスキルレベルを上げてください≫


「いや、おま、――スキルレベルが無いって言ってるのに、どうやってレベル上げんだよ!?」


≪そりゃ、頑張ってスキルを普及させてください≫


 おまえ、この世界にこのスキル持っているの俺だけって言ったよね?

 まったく新しい概念とも言ったよね?

 今からこの剣と魔法の世界に『この黒光りする鉄の塊、実は使えるようになるとトンでもない威力デスッ!』と、実際に撃てもしないのに広く宣伝しろと?


「どう考えても無理だろうが!? いや、ちょっと待て、そうだ! 水鉄砲は使えたぞ!?」


≪うーん、ちょっとスキル一覧をもう一度展開してよく見てください≫


 言われて、スキル一覧が何だってんだよと思うものの、何かあるんだろうかとスキル一覧を開いてみた。


「“スキルオープン”!」


 脳裏に浮かんがスキルの一覧を上から順に見ていく。

 特に変わったところは――いや、あった。


水系魔法(初級) Lv1 必要ポイント100


 前は速攻で銃器スキルのところを見に行ったので気が付かなかった。

 ……なんか嫌な予感しかしない。


≪やはりそうですね。先ほどの水鉄砲は水魔法を行使しただけです≫


「おぅ……」


 余りのショックに思わず地面に突っ伏してしまった。


≪よかったですね! 念願の既存魔法ですよ!≫


「……既存魔法は才能がなけりゃ、使えないんじゃなかったのかよ」


≪“水鉄砲”を覚えた時点で強制的に付与されたみたいですね。これぞ、まさに神からの贈り物(ギフト)! いや~、よかったですね!≫


 そうだね、確かにギフトだね。

 初級スキルな上に次のレベルへ上がる為に、レベルを20程上げないといけないってのがなかったら本当によかったね。

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