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黒烏の魔力

 弁水「なんだったんでしょう・・・あの白ひげの化け物・・・」


 幅「夢でも見てたんだよ 顔だけのオッサンで、種族名が魔入道と呼ばれていて、創造するときに必要な魔力量は約8000くらい、能力は詠唱とかで相手を光魔法で蹴散らすとかそんな化け物いるわけないじゃん!」


 「いやっどう見ても幅先輩の仕業じゃないですか!? さすが召喚した本人っとても詳しっ!! ・・・あの化け物・・・どっか飛んで行っちゃいましたよ!? どうするんですかあれ!?」と、幅に怒りながらも、瞳の奥では尊敬のまなざしで見ている弁水。


 「先輩・・・ふはは、そう呼んでくれるか、それなら今からマスタードパンとパセリスムージを買ってこ・・・ほんぎゃ!?」と、えっらそうに語っている幅の首に刺さっていた針にグーパンチで殴るユリ。


 「さん付けとかするな・・・とは言いましたけど、害虫に部長とか先輩とか言うなとは伝えてませんね、つけあがってうざったるいからこれからもクズを君付けで呼んで・・・弁水ちゃん」と、地面に倒れ、もがきまくる幅を蹴りまくりながら語るユリ。


 「あっ・・・はい、わかりました。ユリ先輩」と、苦笑する弁水。


 「残りは善(黒烏の名字)と鈴蜂か・・・では君たち、最後の野良試合だ。早く魔闘場の台の上へ!」と、ぶつぶつ言った後、もうカラカラの声で叫ぶ先生。


 「先生・・・ジャージ忘れてますけど私、どうしたらいいんですか?」と、先生に体を向けてやる気のなさそうに挙手する鈴蜂。


 「そのてんには抜かりない・・・幅!!」と、もだえ苦しむ幅に顔を向けて言った先生。


 「わっわかった・・・林先生・・・ぐふ!?」と、ユリに未だ蹴り続けられてはいるものの、何とか承諾した幅。


 そして何を思ったのか、顔を赤らめながら自分のジャージの上着とズボンを脱ぎ始めた幅。


 「ちがう!? 何を勘違いしてんだ!! 魔法だ、魔法!!」と、冷や汗をかきながら叱責する先生。


 「別に~私それでもかまいませんよ~?」と、自分の胸にあるリボンをゆるめようとしてる鈴蜂。どうやら男どももいる外で着替えの準備をしようとしてるらしい。


 顔を赤らめ始めた弁水と黒烏、正気を取り戻したルナル、幅の首をか細い両腕で後ろから絞めて極めようとするユリ。


 先生「馬鹿もん!! やめろお前ら! ふしだらすぎるぞ、いい加減にせんかあああ!!」


 「わっかりましたよ、先生・・・服ですよね? サイズはわかりませんから少し大きめになりますよ?」と、自分の首にまとわりつくユリの両腕を払いのけ、手から赤色の魔法陣を大量に空中に出す幅。


 その赤色の魔法陣の群集は、自動的に糸状にほどけだし、あっという間に簡易的な上着とズボンに組み合わさってきた・・・幅は自分の首に刺さっている針を抜き出し、余っている糸状の魔法陣とその針をくっつけ、それを使って、鮮やかな手さばきで簡易的な上着とズボンを縫いだした。


 しっかりとした手縫いで縫い終えた上着とズボンは、全部魔法陣でできてるとは思えないほど、何の違和感もない一張羅に見える。


「着てみてくだせえ、まっ敵の俺が作ったんだ、途中でそれ爆発するかもしれやせんね?」と、その上着とズボンをつかんだ状態で、にたにた笑いながら鈴蜂に向かって言う幅。


 先生「安心しろ、鈴蜂・・・幅はなっ自分の仲間の勝敗になんの興味もないし、卑怯なことはしない(?)男だ、途中で服のひもが緩めて破れる・・なんてこともないから安心して着なさい」


 ユリがルナルを治療してる時に、鈴蜂が人気のない方で着替えていた。ちなみに魔法陣ジャージの着心地は悪くない・・・それどころか炎属性の魔法陣で作ったのだからだろうか、それの生地に触れてる肌全体がホカホカ温かいと感じた。


 鈴蜂がみんなのとこへ戻っているときに、彼女から信じられない提案をしてきた。


 「一人だけの相手なんて勝負にならな~い、そこの一年生も同時に私と闘わないか?」と、めんどくさそうに空の方に視線を向けて、弁水に竹刀を向ける鈴蜂。


 「はあっ!?」


 弁水が不服そうに怒鳴りつけた。まあ三年生と闘いたいのも自分の企みを達成できるから良しとしようとも考えていたのだが、魔闘場の中で一番狭いとこで、そこで2対1で闘うなんて提案は、彼女や黒烏先輩に対しての侮辱であり、弁水が自分を軽視されていると思ってしまうのも無理はない。


 「なめてるんですか? 私のこと!? いくらあんたが3年生でも、クラスの中でも一番魔力があって、魔法系実技なんて全種ちょちょいのちょい! そんでクラスのみんなから慕われている私を・・・そんな・・・おまけ扱いするなんて・・・」と、左足で地団太を踏みながら自分のメガネをはずす弁水。


 「あ・・・あの、弁水さん・・・?」と、恐る恐る弁水をなだめようとする黒烏。


 「ほ~うら、あんたの魔力・・・たったの490しかないじゃない!? 私のクラスの中でも一番低い奴も500以上はあったんだ!! ああっもうっ怒りが収まらない! 私だけでもあんたなんか・・・」と、自分の眼を極力細くして幅みたいにいやらしく笑う弁水。


 いきなり自分の憤怒を抑えられない弁水の肩を後ろからつかむ黒烏。弁水は彼の行動に驚いたものの少し落ち着いた。


 「ゴメン弁水さん、僕だけじゃ鈴蜂さんに勝てないから、おとなしく彼女の提案を受け入れてはいただけませんか?」と、黒烏。


 「はっはい・・・」と、少しだけ顔を赤らめ、黒烏の方に向けて軽く首を回す弁水。


 鈴蜂「あ~ すまんすまんっすまなんだ・・・ちょっと不快な言い方だったけな、まあ許してくれ?」と、素直に弁水に向かって謝った。・・・自分の頭をかきむしりながら目線を左に寄せていたのだが。


 自分のメガネをかけなおし、魔闘台(魔闘場の台の略)に向かう彼女弁水も、「こっちこそ、言いすぎました・・・後輩の分際で、あんた・・・なんて・・・すいません」と、照れ臭そうに言っていた。


 魔闘台の上に立った弁水とその横に並ぶ黒烏・・・そして向かいに立つ鈴蜂。


 「あ~第三回戦試合・・・開始っ」と、生気をまるで失った・・・というよりもやる気をなくした先生がそう言った。


 「魔神讃歌・・・2番!!」と、技名にも聞こえるセリフを天に向かい、身を屈めた状態でどなった黒烏。


 いきなり彼が何を言ってるのかわからない弁水だが、敵から目を離すのは愚行だと知っている彼女は、黒烏の様子ではなく、ぐっと鈴蜂を眺めていた。


 鈴蜂をじっと眺めた弁水だが、敵は何もしかけてこず、それどころか仁王立ちで・・・いや、両腕と頭を重力に逆らわない状態で、竹刀を床につけ、明らかに視界を床に向けている鈴蜂。


 「何・・・あいつ!?」と、弁水はまた私達を軽視しているなと思い、怒りが再びこみ上げた状態で、水色の魔法陣を出した。


 その魔法陣から、第一回戦の現見が出した複数の魔光弾よりも倍近い数の水の塊を出してきた。


 それにつられるかのように、弁水の魔法の軌道に当たらないであろう場所を見極めた黒烏も、左手に雷を纏った状態で大きな弧を描くかのごとく、鈴蜂に近づいた。


 「ええ!? 魔法使えなかったんじゃなかったの!? 魔力無かったですよねえ? まさか幅君と同じように・・・」と、黒烏の左手を見て驚く弁水。


 蛇足だが、魔力がある人々を魔導士と呼ばれている。それが無い人は魔法を全く使えないということ。


 黒烏「あとで説明します! 今は鈴蜂さんの攻撃をしのがないと!」

 

 鈴蜂はなんとっ! 無数とも呼びたくなる水の塊をなんなく最小限の動作で、避けて避けて避けまくり、彼女の死角にいるであろう黒烏の顔を竹刀で弾き飛ばした。(ちなみに魔法勝負は殺傷能力のない武器の使用や肉弾戦も認可されている)


 弁水は、場外にはなってないがひるんでる黒烏を見て、冷や汗をかき、彼女の手のひらに浮いている魔法陣から、水の塊の連射ではなく、コンクリなど軽く砕けそうなほどの勢いを持つ水鉄砲を出した。


 その放射線状・・・にではなく直線状で出し続けている水鉄砲は、彼女の意志によって、動く標的を的確に突こうとしたが、標的は確実に攻撃を避けながら、イノシシみたいに弁水の方に向かって突っ込んでくる。


 しかし鈴蜂の真後ろから、雷をバチバチッと自らの体にまとわせた黒烏が、攻撃を仕掛ける。


 再び彼女の死角から近づく彼は、掌底を喰らわせようとした・・・・・・がっ今度は鈴蜂の竹刀を持っている方の肘で、思いっきり黒烏の頭を打ち付けられてしまった。


 その1秒後、鈴蜂は、複数の魔法陣を出した弁水の肩に竹刀を食いこませようとしたが・・・


 全然不自然でないくらいの動作で、肩ではなく全く違った場所・・・両足に横薙ぎで叩きつけた。


 「なんで・・・? 無透明で・・・絶対ばれないようなシールドを出したのに、・・・何でばれたの!??」と、しりもちをつき、眉毛を逆八の字にして顔を引きつってる弁水。


 シールドと呼ばれる魔法がある。物理攻撃や魔法攻撃を防ぐ効果を持っており、弁水の場合・・・上半身を防御するために設置し、絶対視覚ではとらえきれないように施してあった。それを鈴蜂は見破ったのである。


 「・・・気づかなかったよ? ・・・それにしても立派なシールドだ・・・あたしの意志で動いてたら、確実に防がれていた。」と、竹刀で自分のおでこを掻く鈴蜂。


 「あたしの意志・・・? 何言っているの貴女!? なんで魔法を使わないの!! なんで素でそんなに強いの!!?」と、敵である鈴蜂に自分の疑問を提示した弁水。


 鈴蜂「ふふん。もう使っているよ?」


 弁水「やっぱり!! もしかして他人の考えを読んだり、攻撃を誘導させるような魔法を使ってたんでしょ!?」


 鈴蜂「残念ながら違うな~一年生よ~、他人の考えを読んだくらいであんなめちゃくちゃな魔法避けられなさそうじゃない? 攻撃誘導も違うと思うな~、それだったらシールドを無視したあれはいったいなんだったんでしょうね~?」っと、少し自分の能力をばらすことを焦らす鈴蜂。


 「私の魔法はね・・・」と、鈴蜂がしゃべろうとした瞬間、彼女の後ろ頭上に高く跳んだ黒烏が、雷をまとった状態で攻撃を仕掛けようとした。


 しかし、確実に討てると思っていた死角からの攻撃も、難なく彼女の”面”で叩きつぶされた。しかも鈴蜂は、今まで真後ろにいた黒烏の方面を見ていなかったのだ。


 「敵に操られる魔法さ・・・自分をね」と、竹刀を自分の肩にトントン軽くたたいた状態でばらす鈴蜂。


 「はあ!??」と、品が無く大口を開け驚く弁水。


 鈴蜂「理解できないだろう・・・かわいそうに・・・まあ、どこから話そうか? 人間の頭から脳波っていうか、まあなんか電波的なものがビビビとでてるってテレビであったような・・・。」


 黙って仁王立ちで話を聞く弁水と、頭を抱えもだえる黒烏。


 鈴蜂「まあその電波的なものを利用してだな・・・うわ! よく考えたら、あたしの魔法の説明したらすごく長くなるじゃない!? まあなんやかんやで、敵(複数のも難なく可)の無意識レベルに感じている『相手が今一番行動してほしくない』を自前の魔法陣が察知し、その通りに術者が回避や攻撃をする・・・・・必要な魔力量も少なくて楽なのよこれ・・・」


 ちなみに彼らが闘っている魔闘台のはるか上空に、鈴蜂が出現さしたと思われる魔法陣があった。


 弁水は彼女の言ってることをなんとなく理解した。


 「それはつまり、自分が意識して出した攻撃は全て避けられるということだ! スピードなんて関係ない・・・たとえすごい高性能なライフルだろうがなんだろうが、攻撃しようとした瞬間、彼女の運動神経がとっくに避け(攻撃せ)ねばならぬ場所を把握している・・・」と、思考に耽っている弁水。


 滅茶苦茶だ・・・そんな相手にどう攻撃すればいいのか・・・と、絶望する弁水。


 「知らなかったんだ・・・あたしのこと・・・ちなみに通り名は『カウンタードール』って呼ばれてま~す。学校の戦闘成績は一番いいの」


 「あの・・・」と、カウンタードールの真後ろ死角から大量に電気を纏っている黒烏が言った言葉だ。続けて「では避けられない攻撃をしますね。できることなら今降参してくれないでしょうか・・・」と語った。


 その数秒後、黒烏のすさまじい落雷魔法が炸裂した。弁水がいた場所どころか魔闘台全域に彼の雷が広がっている。


 「だ~か~ら~ 敵にとって一番行動してほしくない思考通りに行動しているの、あたし・・・」と、魔法で空高く黒烏の頭上まで飛んでいき、語っている鈴蜂。


 「”面”でとどめを刺してえけど無理そうだな、あいつ電気纏ってやがる・・・」と、愚痴をこぼしながら、背後にいる弁水(同じ魔法を使って鈴蜂を追ってきた)の肋骨に重い一撃を与えている鈴蜂。


 「竹刀ではじかれたらこんなに痛いんだ!? 意外!!」 というようなことを考えてた弁水は、何を思ったのか、自分の腹を抑えた状態で、魔闘台の床全体に魔力の水をぶちまけた。

 

 「あっ・・・これ詰んだ・・・」と、つぶやき、落下する鈴蜂。


 鈴蜂が魔闘台の床に触れた瞬間、彼女の体に激しい閃光が流れた。黒烏が術を解いた後、煤まみれの彼女はしりもちをつき、焦げてしまった竹刀を放り投げた。


 「あたしの負けだ・・・さすがに電気野郎じゃ苦手だし、魔力差ありすぎ・・・もうだめ、やりたくねえ」と、面倒臭そうに自分の降参を語った鈴蜂。


 「どうです? 私の『アースアクア』」と、魔法でゆっくりフワフワと空を下りながら語っていた弁水。


 鈴蜂「ああ、もうなんも言うな面倒くせえ・・・アースってことは電気をよく通すって解釈するわ、変な水たまりのせいなんだろ? 私がしびれたの・・・」


 弁水「ええ・・・」


 「それにしても判定遅いですね・・・先生・・・」と、焦げた魔闘台に足をつけ、林先生の方に体を向けて言う弁水。


 先生「いや~幅君・・・すごい!! このどてら・・・本当に魔法陣で作ったとは思えないのお~」


 ルナル「本当にすごいですわ・・・マフラーも作れます?」


 ユリ「服だけじゃないですよ、部長は魔法陣だけでいろんなものを作れるんです」


 現見「幻ちゃ~ん、すごいね! 今度幅君にペアルックの服作ってもらおっか!」


 幅が持っている甚平模様のどてらに群がっていた観客と審判を見て、呆然と大口を開けている弁水たち。


 「先生・・・終わりましたよ・・・」と、林先生の方に歩み寄る黒烏。


 「え!? あ・・・ ああ・・・本当!? ウ・・・ウオッホン! ええっと・・・ものすごく聞きづらいのだが・・・どっちが勝った?」と、弁水たちの方を向き、汗をドバドバ流し始めた先生。


 「・・・私達です・・・」と、完全に呆れながら挙手する弁水。


 「そ・・・そうか・・・ええっと・・・」と、言った後ダンマリ決め込む先生。


 その数秒後・・・「第三回戦・・・弁水と黒烏の勝利!!!!」と、明らかに誤魔化そうとしか思えないほど、これ以上ないってくらい大きな声で叫ぶ先生。


 「ちょ・・・先生、それにみんな・・・どれぐらい前から私たちの闘い観てなかったんですか!?」と、自分の周りに水の塊を漂わせ、明らかに憤怒丸出しの態度を見せている弁水。


 「これにて本日全ての野良試合終わりにします!!」と、弁水たちではなく、幅たちの方に向けて宣言した先生。


 その後・・・何があったのか・・・二番目の魔闘場の端に、少し大きめな隕石が地面に衝突したように見える大穴と、その大穴の中に水浸しになって潰れている幅と林先生がいた。


 





 





 


 


 


 


 


  


 


   





 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 

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