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植物使いの望んでいない学園生活  作者: milky
入学から期末試験編
6/8

これでいいのか?

一言あらすじ

気の強いやつとロリとじっちゃん登場

「堺のじっちゃん。ぐっ!?」

初老の男性が花に呼ばれるとすぐに掌に黒い球体を作り出すと花に向かって投げつける。花は『柳の拳』で受け止めようとしたが球体は触れるものをまるでないかのように砕きながら勢いを殺さずそのまま花めがけて直撃した。

「花坊よ~。まずはわしに構う前にやることがあるんじゃないか?」

堺はそう言いつつ通香達に指示を出す。

「多分これで気絶した筈だ。捕縛して連れてこい」

「わかりました理事長」

「わしは先に行って待っと「がはっ!!」何じゃ」

花に向かった生徒を見てその場から立ち去ろうと身を翻したしたとき背中から悲鳴が聞こえた。振り替えるとそこには肩で息をしているが両の足で立っている花がいた。堺は花を見て目を少し見開いたが次には嬉しそうな笑みに変わった。

「相変わらずの化け物だな、じっちゃん。っていうか理事長だったのかよ。似合わねー」

「わしがやりたくてやってると思うのか?」

花は思わねーよと返して何事もなかったように笑顔で堺と話す。

「それにしても強くなったのう。昔はこれ一発で死にかけとったのに、立って耐えるか。時が経つのは早いのう」

「理事長!!そんな話よりも今はそいつの捕縛を優先してください!!」

「ああ、そのことだけどおとなしく捕まるわ。堺のじっちゃんがいるんなら何しても無駄だし」

花は両の手を上に挙げてその場に座り込んだ。この長かった決闘の騒ぎはこうして幕を閉じたのだった。




「んー、自由って素晴らしい!!」

花は背伸びを軽くして机の上に突っ伏す。結局あの後、大人しく捕まった花は生徒指導室で堺に丸々二日も説教されていた。まぁ、説教といってもほとんど世間話をしていただけだったのだが。

そんなこんなで三日ぶりとなる教室でリラックスしていたのだが教室内は花が来たときからはやけに静かで誰も花のそばに寄りつかない。

花の決闘の仕方を見てあの場にいたもののほとんどは花を恐れていた。花と同じクラスの生徒は極力花に近づかないようにするためこうなってしまったのだ。

理由はもう一つある。それは……

「じゃあ、前に決めた二人組になってくれ」

荒川の言葉で突っ伏していた花は体を起こして席を立つ。そして流佳のもとに行く。

もう一つの理由はこれだ。決闘が終わって花が連れていかれた後、流佳は気絶してそのまま病院に運ばれた。その間に今回の事の顛末を荒川がいた生徒達に説明していた。そのおかげで花が完全な悪者にされることはなかったが戦い方から恐れられている。一方、流佳は決闘の最中の態度で本性を見られてしまい病院から帰ってきたときには誰からも信用されなくなっていた。流佳はそれだけで精神的に病んでしまった。今の流佳は外見は制服で余り目立たないが顔に巻いてある包帯がやけに痛々しく、精神的に参っているせいで顔色も常に悪く目にも力がない。まぁ、その目も左目しか見えていない状態なので断定することはできないけども。

そういった理由もあり、クラスの中で完全に浮いた二人だが花は元から他人の評価など気にしておらず現状のままで構わないのだ。

流佳は花を見て声も出せずにただ震えている。左目からは絶望を窺わせる。

「それじゃあ、課題を言い渡すぞ。二人で学園に送られてくる依頼を何でもいいから一つこなしてくれ。ただし、請ける依頼はランクD以下にしてくれ。その他の詳しいことは進道に聞いてくれ」

「な、何で進道君何ですか?」

荒川が説明しないことよりも花に教わらなければいけないことに一人の生徒が怯えながら尋ねた。その答えは予想を上回るものだった。

「進道はすでに数々の依頼をこなしていて、理事長とともに戦いに臨んだこともある現役だからな。お前らよりも少し先輩になるから色々教えてもらうといい」

「「「「はぁぁー!?」」」」

一斉に花に注目が集まって誰もが驚愕した。それもそうだろう。自分達と同い年の生徒が既に現役なのだ。将来にこの学園の生徒のほとんどが入ろうとしているのが依頼をこなして生活をするギルドと呼ばれる場所だ。そこで働いているなんて凄いと尊敬すればいいのか、何故学園に来たのか問うべきなのかという疑問が頭の中に沸き上がる。

「という訳だ。後は頼んだぞ学級委員」

「ちょっと待て。説明は良いとして学級委員ってなんのことだ」

花が聞こうとするがそのときには荒川は逃げた後だった。ため息を吐いて近くにいる流佳に聞くことにした。

「学級委員って何の話?」

「ひっ!?ああ、あの、進道……さんがいないときに先生が勝手に決めてしまって……だから許してください。私が悪いわけでは…」

後半からは頭を抱えて独り言をぶつぶつと唱えている。その様子を見て花は苛立ちを覚えてあることを思い出した。

「そういえば決闘の賭け、俺の勝ちだよな。一つ何でも要求できる訳だ」

花が流佳の頭を持って無理矢理目と目を合わせる。流佳はそのことを思い出して既に涙が流れて恐怖に顔を歪めている。クラスメイトも息を呑んで見守る中、花はいい放った。

「俺に対する嘘、無視を禁止する。聞かれた質問にはきちんと答えて、普段の態度も素のお前を出すこと」

わかった?と聞かれて流佳は固まってしまう。花の要求が予想とはかけ離れていたものだったからだ。しばらく答えられずにいると突然頭に激痛が走った。耐えられず机に頭を伏せる。

「質問に答えないとこうなるのか。早く答えないと多分もっと痛くなるぞ」

そういわれても痛みでそれどころではなく、痛みに苦しみながらもどうにか首を縦に振った。それでようやく痛みがなくなった。

「俺が納得したら解除されるのか。この誓約力はすげぇな」

「ひっぐ………どうしてこんな、ことに使ったの?」

泣きながらも聞いてきた流佳に対して花は言った。

「だってそんなメソメソされたらこれからどうやって一緒に行動すればいいんだよ?俺は別にお前のことが嫌いなやけじゃない。ただ、本心を隠して接して来たことに苛立ちを覚えただけだ」

「それは…その……」

「だから、素のお前を出すことを要求した。それ以外に理由はない」

花は最初に声をかけられたときから流佳が本性を隠していることに気づき関わるまいとしてきた。しかし、決闘でさらけ出したことでそのことに関してはもう何も思わないようにした。まぁ、その後の態度の悪さに苛立ち今の状況になったわけだが。

「それに今のお前をみたらどんだけ腫れ物扱いされてるかはわかる。そんなやつをほっとけるか」

俺のせいでそんなになったらしゃくだからな、と言われて流佳は今まで伏し目がちにしてなるべく合わせないようにしていた目を花の目に真っ直ぐ向けた。

「私はそんなに優しくしてもらう権利なんてない」

「強がるなよ。また痛むぞ。これからは周りを気にすることはない。素のお前を出していいんだよ。受け止めてやっからさ」

その言葉で今まで我慢してきた涙が溢れて、どうしようもない気持ちを発散させるように花に抱きついた。花は宥めるように頭を撫でてやった。優しくゆっくりと。

「………ありがどう」

泣きながらも言った言葉は少し掠れていた。

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