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植物使いの望んでいない学園生活  作者: milky
入学から期末試験編
2/8

いきなり決闘?

一言あらすじ

入学しました。

簡単な自己紹介を終えて荒川は異魔学園の説明をしている。

「この学園では授業のあるとき以外は自由に過ごしてもらって構わない。自らを鍛えるも良し、学園に依頼されるクエストをしても構わない。ただし必ずクエストに行くときは学校に申請をして二人以上で行くこと」

花は内心舌打ちをした。できる限り誰とも関わり合いを持たずに過ごそうとしていた花にとってはいやなルールだ。

「それとそのパートナーはこちらで決めた。今から言う相手と一ヶ月組んでもらう」

花はついに頭を抱えて突っ伏した。もう考えることを諦めたようだ。

「次は進道と姫野」

名前を呼ばれたので花が教室を見回すと同じようにしていた薄緑色の髪の女子生徒と目があった。どうやら彼女がパートナーのようだ。

「全員覚えたね。それでは今日は授業をここまでにして今からパートナーと話し合いの時間にでもしてくれ。それでは解散」

そう言って荒川は教室から出ていった。生徒達は自分のパートナーと話をしようと席を立っている。

花のパートナーも花のところにやって来た。

「進道君のパートナーの姫野 流佳(るか)です。寝ていたから聞いてなかったですよね」

流佳は右手を出して花に握手を求める。整った顔立ちと豊満なスタイルは美少女というに相応しいものだ。実際流佳は教室にいたときから男子の注目の的でもあった。そんな流佳に握手を求められた花を見て男子達はチラチラと嫉妬の視線を向けている。

しかし、そんなことは花には関係なかった。見られていることも全て分かった上で無視して教室から出ていった。花が出ていった後、教室は少し騒がしかったがそんなことを気にする花ではなかった。



花は缶コーヒーを買って屋上でくつろいでいた。他の生徒は互いに親睦を深めたりしているのだろうが花は最初から誰かと組む気はなくこれで愛想を尽かしてくれるならラッキーとまで考えていた。そして、そろそろ自分の部屋がある寮を見に行こうかと屋上を後にしようとしたとき、屋上の扉が勢いよく開かれた。そこにいたのは、

「見つけたぁ!!何で私を無視して屋上なんかでくつろいでるのよ!!進道 花!!」

教室で最初に話しかけてきたときの優しそうな印象とはまったく違う姫野 流佳だった。

「何かキャラが変わってるけど大丈夫?」

「猫被ってたのよ。姫野財閥の娘である私が行儀の悪い態度をとることができるわけないでしょう」

無関心にスルーした花にあからさまにイライラしている流佳はさらっと本音を言ってしまった。

「お嬢様だったのか。にしてはお嬢様っぽくないよね」

「うるさいうるさい!!」

流佳は唸りながら花を睨み付ける。花はそろそろめんどくさくなってきているので屋上から立ち去ろうと踵を返した。

「用がないなら俺、寮の自室行くから」

「ま、待ちなさい!!進道 花あんたに決闘を申し込む」

告げられた言葉に花は立ち止まり振り向く。しかし、その目はめんどくささをかくそうともせず哀れなモノを見る目で流佳を見ていた。

「お前学園のルールぐらい理解してくれよ。生徒間での戦闘行為は禁止だろうが」

こんなこともわからないのかと哀れな視線を送る花に気づかず流佳は腰に手を当て胸を張って言い切った。

「学園に許可をもらえばいいのでしょう。なら今日申請してくるわ。明日の放課後に決闘よ!!首を洗って待ってなさい!!」

流佳はそれだけ言うとどや顔で屋上から出ていった。後に残された花は言い切れぬ怒りを胸に秘めて屋上から立ち去った。




「ここかな?」

寮の一室の扉の前で立ち止まっているのは人の良さそうな顔をしたぽっちゃりとした少年だった。彼は今日から同じ部屋で過ごす相手と上手くやっていけるかどうか不安になりながら楽しみにしている。

「よし入るぞ。こんにちは~」

恐る恐る扉を開けて中にいたのはどこにでもいるような普通の少年だった。ほっと息を吐いて安心して中に入った。

「初めまして、今日からこの部屋で一緒に過ごす大雲 天気(てんき)これからよろしくね」

「俺は進道 花。よろしく」

「え?」

天気は花の名前を聞いた途端にびっくりして後ずさった。

「どうした?」

「君が噂の花君なの。僕もっと怖い人だと思ってた」

「ちょっと待て。噂って何だ?」

噂という単語を聞いて嫌な予感がした花は聞きたくないと思いながらも聞いた。そして、その予感は正しかった。

「明日決闘をするんだろう。凄い噂になってるよ。何でもいたいけな女子生徒を相手に挑んだ鬼畜と………か…」

天気は途中で黙った。いや、正確には黙らされた。花が無言でとてつもないプレッシャーを放っていてこれ以上言うのは自殺行為だと理解したのだ。

「…そうか」

言葉少なくプレッシャーを無くして花は自分の布団に入っていった。そんな花を見て天気が相手の身の心配をしたのは言わなくても良いことだろう。



そして、翌日の放課後。今朝の時点で流佳に指定された体育館に行くとそこには軽くギャラリーができていた。花が来たことに気づくと大半の視線が花を睨み付けた。

そんな奴等を無視して進むと一人の生徒が近づいてきた。天気だ。

「応援しに来たよ。それにしても凄い人だね」

「ありがとな。………大方、あのお嬢様が怒って俺の悪い噂流しまくったんだろ。そんで大観衆の前で俺を叩きのめすって寸法だろう」

肩を竦めて大袈裟に溜め息をついた。段々とすっぽかそうかなと思い始めたところで流佳がやって来た。……何故か数人の取り巻きを連れて。

「ごきげんよう、進道君。決闘を申し込まれたからには全力で立ち向かうからね」

妙に清々しい笑顔で挨拶してきた流佳に最早苛立ち以外の感情を抱くことはなかった。

「どの口が物言ってんだよ。自作自演の結果だろ。姫野お嬢様(笑)」

花の挑発に簡単に額に青筋をたてる姫野。だが彼女はまだ耐えた。しかし、取り巻きどもは姫野がバカにされたことに耐えられなかったようだ。

「進道、貴様我ら流佳様親衛隊の前で流佳様を馬鹿にして唯ですむと思うなよ」

一人のリーダー風の男子生徒が歩み出てきた。花は一応、入学式から一日目なのに親衛隊って何だよとかそもそもお前誰だよと突っ込もうかと思ったがめんどくさくていつも通りスルーした。



そんな騒ぎを遠巻きに見ていた他の生徒とは纏う空気が違う女子生徒が花を見ていた。

「……あの子……面白そうね」

女子生徒の呟きは誰にも聞かれることなく彼女はそこから立ち去った。

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