表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

序章 『若き天使』

誤字・脱字などがありましたらお知らせください

 俺の存在が認められた証、それは有坂悠生(ありさかゆうき)という名前。

 それまで俺に名前なんてものは存在しなかった。上の連中が俺みたいな下っ端に名前を付ける意義を見出だせなかったからだ。

 しかし、虫けらと同等……いや、存在すら認めてもらえなかったこの俺にも使命(チャンス)が与えられた。これが成功すれば出世コース間違いなし。いつも威張り腐っていた連中にペコペコしていた俺ともおさらばだ。

 その使命の内容は、罪を犯した人間を裁くこと。ようするに悪い人間を始末すればいいのだ。

 さすがにもうお気づきだろうか? 俺は人間ではない。まだ千年も生きてない若輩だがこれでも立派な天使だ。天使としての力は弱いが、力が全てではない。意思の強さが重要なのだ。意思の弱い者は堕天使となり、罪を犯す前に天使の手によって罰が与えられる。俺はその意思を試されるのだ。この使命で。

 天使の証である翼は人間の姿に押しとどめられ、名前も与えられた。人間と瓜二つの俺は人間界に降り、天界から送られてくるリストに載っている人間を観察し、彼らの抱えた罪を見届けた後に裁きを下す。

 はたしてどのように意思の強さを試すのかは疑問に思うところだが、俺は与えられた使命をこなすだけだ。

 堕天使がどのような罰を受けるのかを俺は知っている。俺が生まれてすぐの頃、天使の中でも上位にいた俺の両親は堕天使として罰を受け、監獄へと閉じ込められた。それ以来、両親の姿を一度たりとも目にした者は誰もいない。だからこそ俺は偉くなって会わなくてはならない。そして堕天使となった両親に聞くんだ。


「俺を一人残してしたかったことはなんだ?」


――てな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ