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第8話 魔物の角で報酬GET

町に到着時に酒場での騒ぎがあったものの、無事に冒険者ギルドに登録する事が出来、今はギルドについての説明を受けている。


「それではGP(ギルドポイント)に関する説明に移りたいと思います。先に見せた依頼書に書かれている『60GP』という数字と『B』の判にご注目ください」


そう言って女性は俺によく見えるように、それ以外の部分を折り畳んで見せてきた。


「此れはBランクの方がこの依頼を受けて、無事に成功されたときに冒険者に加算されるポイントです。此処からが少し難しくなるのですが、もし仮にCランク以下の方がこの依頼を受けて成功すれば60GP×1.5という事で90GPが冒険者に加算され、反対にAランク以上の方が依頼を受けた場合は60GP×0.5という形で30GPしか加算されません」


なるほど自身のギルドランクと依頼書のランクとを比べて、GPの加減を決めるのか。


「先ほども説明いたしましたように冒険者に成りたての貴方が行き成りCランクを受ける事も当然できますが、結果として依頼に失敗し命を落されたとしても当ギルドは一切関知いたしませんので御注意ください」


小さな事からコツコツとGPを溜めて徐々にランクを上げていくか、一気に高ランクに依頼を受けて一気に上のランクに昇り詰めるかか。前者は比較的安全ともいえるが、後者は下手をすれば命に係わる行為だな。


「それでは最後に2階でギルドの新規登録をしている理由ですが、この場所は新規登録者を除いてCランク以下の冒険者の立ち入りが出来ない場所となっています。此方に貼られている依頼書は何れもAランク、Sランクの高難易度の仕事です。従って此処に居る彼等は最低でもBランク以上の猛者という事になりますね」


最初に俺が感じた、下に居る冒険者とは何か格が違うような気がするというのは合っていたという事か。


「水晶玉での判別時に水晶が黒、もしくは砕け散っていた場合は後ろにいる冒険者が貴方を捕縛、もしくは討伐する事となっていたでしょう。っと如何やら丁度ギルドカードが出来上がったみたいですね。大丈夫だとは思いますが一応確認を」


女性はそう言いながら窓口の奥に微かに見える箱の中から、半透明の定期サイズのカードを取り出して間違いがないかどうか確かめるように言ってきた。


手渡されたカードは俺が異世界に来る前に居た世界では御馴染みともいえるプラスチックによく似た手触りのツルツルとしたカードで、表面には俺の名前である『クロウ』という文字とその右下には『0GP』の文字とギルドランクを表す『F』の文字が見て取れた。名前の左下にも何かが表示されそうなスペースがあるものの、今は何も表示されてはいなかった。


「確認しました。何も問題はありません」

「では、今この時より貴方はギルドの一員となりました。1日でも早くギルド最高位であるSランクに昇り詰めるよう頑張ってください」

「それとギルドがある、この町に到着する前に倒した魔物の角があるんですけど、お金にならないでしょうか?」


そう言ってポケットの中にしまいこんでいた狼に似た魔物の、折れた角を担当者にみせたのだが…………。


「形状からして、ホーンウルフの角だと思われます。1階にある討伐依頼書の中に『ホーンウルフの討伐依頼』があれば、討伐証明である角を提出する事でGP(ギルドポイント)と報酬が受け取れる筈ですよ」

「それにしても、よく角だけで魔物の種類が判別できるものですね」

「このぐらい出来ませんとギルド員は務まりませんから」


俺は目の前の女性に深々と頭を下げると踵を返して階段を下りて行こうとしたが、ホーンウルフの討伐依頼がなかったら無一文状態になってしまうので、アリアからギルドに無料宿泊施設があるという事を聞いていた俺は再度踵を返し、先ほど冒険者登録をした窓口へと向かった。


「度々すいません。聞き忘れていたことがあるのですが」

「えっと、なんでしょうか?」

「ギルドには無料宿泊施設があると聞いたんですが、空きはありますか」

「あることにはありますが、そのことを何時何処いつどこで、誰から聞きましたか?」

「昨日の夜、酒場での騒ぎに巻き込まれる形でアリアから聞きました」

「そうですか。アリアからの紹介なら大丈夫そうですね。許可します」

「有難うございます。許可という事は、誰でも宿泊所を利用できるという訳ではないんですか?」

「当然です。本来はある程度ギルドに貢献した方が特別に使用できる場所なのですから」

「それなのに、今日初めて登録した俺が使えるのは問題ありませんか?」

「私もアリアの名前が出されなければ、許可するつもりはありませんでした」


此処まで気に掛けられるアリアは一体何者なんだろうか?

俺も知り合いというレベルではなく、困っているところに助けに入ろうとしただけだしな。


実際に大男からアリアを救ったのは、酒場の騒動を引き起こした人物である姉のディアナなんだし。


「くれぐれも今回の事は口外しないでください。あとは宿泊施設とは言っても食事は出ませんし、広さは大人一人が眠ることが出来る空間しかありませんので、あまり期待はしないでください」

「もしも先ほどのホーンウルフの討伐依頼がなかった場合は、お世話になります」

「その時は近くに居るギルド員に声をかけてください。私の許可を得たと言えば、案内してくれますから」

「わかりました。では、これで失礼します」


改めて頭を下げ、討伐依頼がある事を祈りながら多くの冒険者たちが集まる掲示板の前へと移動する。


「え~っと、ホーンウルフの討伐、ホーンウルフの討伐っと…………。あった! これだ」


其処には『C』の判で『ホーンウルフの討伐依頼 報酬20,000G 30GP 注意事項:討伐証明である、角を持って無い場合は仮に討伐したとしても、依頼失敗と見做す』と書かれていた。


「へぇ~あの魔物ってCランクの依頼になるんだ。という事は俺のランクがFだから、30×1.5という事で、行き成り45GPの獲得になるんだよな」


俺は目の前にある依頼書を掲示板から剥ぎ取ると、出来たてホヤホヤのギルドカードを持って窓口へと向かった。


「これをお願いします」

「『依頼ランクC ホーンウルフの討伐』ですね。ギルドランクはFで…………0GP!? 登録してすぐに高ランク依頼を受けるなんて、あまり無理はしない方が良いですよ。失敗すれば2000Gを罰金として支払って頂くことになりますが、其れでも依頼を受けますか?」

「受けます。というか、既に倒してしまった後なので。討伐証明も、ほら此処に」


そう言って服の内ポケットから血糊のついた魔物の角を取り出すと、窓口の隙間から中に入れた。


「確かに間違いないようですね。では成功報酬の20,000Gと45GPです。お確かめください」


窓口から差し出されたのは酒場で見た丸い銀色のコインが2枚と『45GP』の文字が表示されたギルドカードだった。


恐らくは酒場でアリアがガウェインさんに手渡していた四角形の銀コインが10,000Gを表すとみていいだろう。


取り敢えず、当面の生活費(20,000Gがどれくらいの価値なのか不明だが)を手に入れた俺はギルドの無料宿泊施設に世話にならなくても良くなったため、ギルドを出て情報収集のために酒場に向かう事にした。





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