第7話 チュートリアル
「まあ何にせよ、だな。ここから出るには、最低限チュートリアルはクリアする必要があるみたいだし。取り敢えず進めるとしようか」
目の前にはカウンターがあり。
そこには金髪のおねーさんが立っていた。
ゲームキャラだけあって、現実では中々お目にかかれないレベルの美人でボインだ。
因みに、この場所に出入り口はない。
なにがなんでも目の前にいる女性に話しかけろという、分かり易いゲームデザインとなっている。
「ようこそ、アルティメットワールドへ」
近付くと、相手の方から声をかけて来た。
「チュートリアルの説明をしますね」
そしてこちらの返事を待たず、話を進めていく。
「チュートリアルは、ゲーム初心者さんに向けたバッチリモードと。ゲームに慣れた方用の、簡易モードがあります。どちらに致しましょう」
どうやら本格的なのと、ゲーム慣れしている人間様にチュートリアルが分かれている様だ。
俺はゲーム慣れしてるし、なにより、さっさとログアウトしたいので簡易版で行かせて貰う。
本体の事が気にかかってるし。
園崎家の人間が実は魔物の化けた姿で、俺の本体は絶賛齧られ中とかって可能性もゼロじゃないからな。
いやまあ、流石にそれはゼロか。
ただまあ、世の中なにがあるか分からない物である。
万一の事を考えて行動しとかんと。
「ゲームの達人なんで、簡易版で」
「分かりました。では、細かい説明は省させて頂きます。気になる部分はその都度、コンソールにある説明からご確認ください。それでは、チュートリアルバトル用の装備をお選びください」
目の前にコンソールパネルが現れ、その中には武器が数種類並んでいた。
俺はその中から剣を選択する。
オーソドックスかつ、もっとも勇者に相応しい武器だからな。
出て来た剣を俺は握る。
手に馴染む。
中々悪くないつくりの剣だ。
「では、5秒後にチュートリアルバトルを開始いたします」
5、4、3、2、1と、パネルでカウントが進んで行き、0になったところで景色が変わる。
草原みたいな場所だ。
そして目の前には、角の生えた赤色の小鬼の姿が。
名前は頭上にプチデビルと表示されている。
こいつがチュートリアルの相手の様だ。
因みに、アクアは場所移動にも普通に付いて来ている。
『では、頑張ってください』
受付の女性の声がそう告げると同時に――
「ぎー!」
小鬼が襲い掛かってくる。
ただ、その動きは酷く緩慢だ。
「こんな遅い攻撃を喰らう奴はいねーだろ」
それをひょいと躱し、首筋めがけて剣を振るう。
するとそのままプチデビルが消えてなくなる。
びっくりするほど弱かったが、まあ戦闘に慣れさすためだけの相手だろうから、こんなもんっちゃこんなもんなんだろう。
『おめでとうございます。チュートリアルが終了しましたので、5秒後に始まりの街へ転送させていただきます。どうか良い旅路を』
通常版はどうかわからんが、簡易版はびっくりするほどあっさりしてるな。
あってもなくても良いレベルだ。
まあこっちとしては助かるからいいけど。
取りあえず、始まりの街に付いたら即ログアウトだ。
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