第24話 カマキリング
食後、少しくつろいだ後、俺は芽衣に誘われ再びAWへと戻ってきた。
まあ彼女が言い出さなくても、俺はゲームに戻るつもりだったが。
因みに、護身用の結界はゲームにログインする前に張り治している。
それも単に張り直しただけではなく、ステータスの制限も外す形での張り直しだ。
魔力が低い状態だと、心許ないからな。
安全のために強化した訳である。
まあこの家の人間や、外部の人間が侵入してきて俺に害を与えてくる可能性は低いとは思うが、念には念を入れておかないと。
世の中何が起こるかわからないし。
「まずは目指せレベル30だね」
レイドボアを倒し、レベルは現在24になっている。
倒した際に勇者補正も上がっており、勇者補正はDに。
それ以外のステータスも一律Dだ。
「ああ」
レベル30を目指すのは、ゲームのメインストーリーを進めるためだ。
正直、ストーリー自体に興味はない。
だがこれを進めて行かないと、入れない場所や戦えないボスが結構あるそうなので、進めざるを得ない感じだ。
面倒臭い事のこの上なしだが、不利益があるのならするしかない。
「次のよさそうなボスを……って、アイボール無しで倒すのはあれか」
ボスを倒してサクサクレベルを上げたい所だが、動画に残せないと金にならない。
自分視点——映像データは後で乃蒼に送る形――でもいい気はするが、どうなんだろうな。
どうせなら、受けの良い動画になった方がいいんだよな。
金の問題が絡んでくるので。
まあ昼食から帰って来てない乃蒼達が戻ってくるまで、雑魚狩りでお茶を濁しとくか……
「あ、それなら大丈夫だよ。あたし、アイボール持ってるし」
「そうなのか?」
「うん。お母さんが買ってくれたの。録画してお父さんやお母さんに見せて上げる用だよ」
なるほど。
両親に見せる用か。
まあまだ11才なら親から見たらかわいい盛りだろうし、それ用になら金は惜しまんわな。
因みに、芽衣は無課金勢である。
両親からは、ゲーム用の小遣いは貰えないそうな。
食事の時と言い、教育はきっちりしてる感じだ。
「じゃあ次のボスを案内してくれ」
「りょーかい!じゃあ、次はレベル35の――」
芽衣に案内されたのは、でっかいカマキリのボスだ。
体高5メートルぐらいある奴。
それが2体。
取り巻きではなく、HPのリンクしたニコイチのボスだそうな。
攻撃方法や弱点、その他は聞かない。
何故なら――
「アイスクレイドル!」
―—一方的に攻撃して倒すからだ。
アイスクレイドルは、敵を冷気の塊に閉じ込める拘束効果に加え、持続ダメージを与える魔法だ。
俺の冷気魔法を受けたカマキリ二匹が、巨大な氷の塊に閉じ込められ――そしてそのHPゲージがモリモリ減って行く。
そして死亡。
「おお、凄い」
ライトニングエクスプロージョンではなく別の魔法を使ったのは、毎回同じ方法じゃ単調になると思ったからだ。
人気動画にするためにも、変化は付けていかんとな。
「よし、これでレベル30だ」
レベル30達成。
早速メインクエストを進めるとしよう。
「あ、翔お兄ちゃん!レアドロップしてるよ!」
「おお、そうか」
「ほら!カマキリング!」
ドロップの、地味な見た目の緑色のリングを芽衣が拾い上げた。
名前がひたすら適当なので、効果は全然期待できそうにないから困る。
まあそもそも、低レベルボスのドロップに何かを期待するのが間違ってる気もするが。
「このリングの効果はね、装備すると素なんと……素手の攻撃で敵を斬れる様になるんだよ!」
「それって凄いのか?」
「んー、一発芸用とかかな。素手で紙をきるとかそういうの。攻撃力は剣とか使った方が強いしねー」
やっぱゴミだった。
というか想像以上に酷いんだが?
まあ店売りかな……って、なんだ?
芽衣からリングを受け取ると、急にパネルが開く。
そこに表示されていたのは――
『カマキリングを吸収して装備スキルを取得しますか? はい・いいえ』
―—だ。
手で紙を斬る宴会芸とか別にいらないんだが?
拙作をお読みいただきありがとうございます。
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