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異世界帰りの勇者、フルダイブMMORPGゲームでも勇者として無双する~やりたい放題チートしやがって?ただの地力ですがなにか?~  作者: まんじ(榊与一)


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第2話 警察

異世界に俺を召喚したのは、メリエスという美しい王女様だった。

いやもうマジでびっくりするぐらい可愛くて、しかも胸も大きくてスタイル抜群と来ている。

そんな女性に、腕に胸を押し付けられてこの世界の為に魔王を倒して欲しいなんて言われたら、そりゃ男として奮起しないわけもない。


そりゃもう『俺に任せろ!!』ってもんよ。


勇者召喚は適当な対象を呼び出したのではなく、高い潜在能力を持つ者を呼び出す物で、更に、召喚時にそれを引き出す仕様だった。

そのため、奮起した俺はメキメキと力をつけて行く事に。


ただ魔王の軍団も相当な強敵揃いで、俺は訓練と戦いに明け暮れ、5年という歳月をかける必要があった。

そしてすべてが終わり、遂に俺とメリエスと結ばれる時がやってくる。

もう、心臓バクバクもんよ。

自分でいうのも恥ずかしい話だが、この年まで思いっきり童貞だったからな。


そして、夜、俺は彼女の寝室の扉を開けたところで――送還される事に。


で、今何をしてるのかというと……


「この金塊はどこで手に入れたんだ。素直に言いなさい」


警察で事情聴取を受けていた。


「いやー、親が残してくれた物でして」


俺は19の時——召喚される3か月ぐらい前に、両親を亡くしている。

爺ちゃん祖母ちゃんもいないし、親戚もよく知らない。

なので、頼れる相手はいない状態だった。


暮らしていた場所は、生前両親と一緒に暮らしていたアパートである。

そこも5年も経っているので、当然整理されてしまっているだろう。

家賃払ってねぇ訳だしな。


つまり、この世界には何も残っていないって事だ。

俺の物は。


さて、この状況で、異世界から帰って来たばかりで無一文の俺は、これからどう生活すればいいのか?


答えは簡単。

金だ。

そう、金さえあれば全ては解決する。


という訳で、俺専用のアイテム収納空間であるインベントリに入れておいた金塊を取り出し、朝一で銀行に持っていったら――こういうのがどこで売れるかわからないので――警察を呼ばれて御用って感じである。


どうやら金塊には大抵刻印が入っているそうで、それの無い物を持ってきた変な格好の――王女と致すつもりだったので、異世界での下着姿だった――俺を、なんか犯罪関係と判断して銀行は通報した様だ。

銀行としては正しい対応だと納得は出来るが、何も悪い事をしてない俺からしたら迷惑極まりない話である。


因みに、金塊は魔王城の宝物庫にあった物だ。

本当は国庫に入れなければならない物だったが、金があった方が何かと便利かなと思い、くすねてインベントリに突っ込んでおいたものである。


ネコババ?


おいおい、勇者は拾った物を懐に納める権利があるのを知らないのか?

JRPGの常識だろうが。


「あんたねぇ。いつまでも嘘ついてると、碌な事にならないよ」


俺は親が残してくれた物で押し切ろうと思っていたのだが、まるで通用しない。

なので、もう30分ぐらい同じ問答が続いていた。

まあ身分証もないしな。

話が通用しないのも、当たり前っちゃ当たり前ではある。


ああ、めんどくせぇ。

これも全てメリエスのせいだ。

あいつが急に俺を裏切って送還さえしてなければ、今頃彼女とイチャイチャしていたはずなのに。


舛添ますぞえさん」


取調室に、警察官が入ってきた。


「身元の確認は出来ました。写真と顔も一緒ですし、本人で間違いないかと」


「ふむ……あんた、5年間行方不明だったそうじゃないか?何やってたんだ?」


どうやら俺の身分確認が出来た様だ――最初に伝えてある。


「プライベートな事なんで」


「いや、プライベートじゃなくてだね。犯罪を疑われてるんだよ?分かってる」


正直に異世界に行ってたとか言ったら、絶対怪しい薬使ってるって思われるはず。

まあ、勇者としての力を見せてやれば黙らせる事も出来るだろうけど……異質な力ってのは、知られると排除対象になる可能性があるからな。

映画やアニメとかでよくある設定で、現実でも十分起りえる展開だ。


だから力をばらすのは、余程の事がない限りNGである。


そうなると、5年間の空白を説明するのは難しい。

ホームレスが一番手っ取り早いが、それだと金塊どこで手に入れたって話になるしな。

難しい所だ。


「疑うのは結構ですが、俺は潔白です」


犯罪の証拠なんて出る訳もなし、もうこのまま突っ走るしかない。

そのうち相手も諦めるだろう。

ここは根気勝負だ。


「やれやれ……」


結局、その日は拘置所に泊まる嵌めに。



拙作をお読みいただきありがとうございます。


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