第19話 期待されてもな
「おお、レベル12にしてもうDランクステータスがあるわね」
「さっすが、必要経験値100倍だけあってステータスは高いわねぇ」
ギルドに入った俺は、自分のステータスを公開——設定できる。
もちろん俺の方からも、ギルドメンバーのステータスは確認可能だ。
まあ興味がないから別に見ないけど。
因みに俺のステータスはレベルアップした事で筋力と魔力がDランクにアップしていた。
開始時が全ステータスEだったでフラットかと思われたが、単に、平均的に高かっただけの様だ。
「あれ?でも聞いてたようなスキルや魔法がないわ」
俺のスキルや魔法欄を見て、古都緑が不思議そうに首を捻る。
どうやら芽衣は、イカさんで使ったスキルや魔法なんかも伝えていた様だ。
「ないよねぇ。やっぱり私の見落としじゃなかったんだ」
あの時は咄嗟に芽衣の見落としだろと誤魔化したが、再度確認されればいい訳は聞かない。
が、俺も馬鹿じゃないので、ちゃんと対処法は考えてある。
「ん?ちゃんとあるだろ?ライトンニングエクスプロージョンの魔法とか」
「えぇ?魔法はシャインとヒールしかないよ?」
「その二つしかないわね」
「ですねぇ」
芽衣の言葉に、他の人間が同意する。
まあ当然だ。
実際、その二つしか魔法はない訳だからな。
あ、因みにシャインは光属性の攻撃魔法で、ヒールは回復魔法な。
この二つはレベル5と10で習得している。
スキルの方はまだなしだ。
「おかしいな?俺の魔法欄には間違いなくあるんだけど……ひょっとして、俺にだけ見えてる《《隠し要素》》って事か?」
俺の考えた対処法とは……そう、隠し要素として押し通す事だ。
幸い、俺以外は勇者はいないっぽいからな。
なので、この嘘を他人が見抜く事は出来ないはず。
「隠し要素!?」
「あー……確かに、その可能性もあるわねぇ。芽衣ちゃん、実際に天道さんは魔法とかスキルを使ってたんでしょ?」
「うん。それは間違いなく。剣もびりびりーってしてたし」
「実際使ってるわけだし、どうやら他の人には見えない仕様みたいね」
実際使用し、そしてステータス欄に現れてないなら、そうとる以外にはない。
作戦成功である。
え?
異世界を救った勇者である事は伝えないのか?
伝える訳ねーだろ。
親友とか両親相手ですら悩むレベルの秘密だぞ。
それを、今日会ったばかりの奴らに秘密を教えるとか、頭お花畑け過ぎるわ。
「神秘のヴェールに包まれた勇者様かー。ふふ、なんだかカッコいいですね」
白雪椿は、口調からおっとりした印象を受ける。
実際はどうか知らんが……まあでも、超越者が素質としてヒーラーを提示してそのクラスについてるんだから、印象が大外れって事はないだろう。
「うんうん。かっこいいよね!さっすが私のお兄ちゃん!」
よくよく考えて、よく今日紹介されたばかりの俺を兄として受け入れられるもんである。
芽衣の奴は。
仮に前から聞いていたとしても、順応力が半端ねぇ……いや、単に何も考えていないだけか。
子供だし。
「くぅぅ、勇者が成長するのが楽しみだわ。期待してるわよ、我らがフェアリーファングの勇者様」
ふむ……あんまり期待されても困るんだがな。
俺の目的はあくまでも速やかなレベルアップで、このギルドの隆盛にはほぼ興味ないし。
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