第18話 まあ気にする様な事ではない
玄関で立ち話もなんだという事で、俺は談話室に案内される。
「どうぞ」
「どうも」
ギルドハウスにはNPCが侍女として複数働いており、彼女達がテーブルに着いた俺の元へ紅茶を運んで来た。
因みにNPCは頭上に目印としてのマークがあるので、一目で分かる仕様となっている。
「これ……おいしいですね」
何となく、受け取った紅茶を一口すすると、普通に紅茶の味がして驚く。
「ふふふ、凄いでしょ。このゲーム」
「ええ、想像以上です」
味覚まで再現するとか、流石超越者が関わっているゲームだけあると言わざるえない。
ここまでくると、もはやもう一つの世界と言って良いレベルだ。
「ま、想像以上はこっちもなんだけどね。芽衣ちゃんのメッセージを見たわよ。レベル1。しかも単独で、あのイカさんを倒したんですって。凄いわねー、勇者って」
俺の事については、芽衣がメッセージを使って事前に連絡してあったようだ。
まあそうじゃなかったら、玄関先で5人そろって出迎え何てある訳ないからな。
当たり前か。
「凄かったんだよ!遠くから魔法をズバッと決めて!近づいて来たイカさんをバッサリあっさり切り裂いて倒しちゃったんだから!」
乃蒼に尋ねられ、芽衣が身振り手振りで俺の戦いぶりを興奮気に説明する。
落ち着きのない事だが、まあまだ11歳だし、仕方なくはあるか。
「凄いんだね。翔お兄さん」
「うんうん、だって100倍だもん。翔お兄ちゃんの強さもそりゃ100倍だよ」
白雪椿と、芽衣が俺の話でキャッキャすると、創世蒼の奴が此方を睨んでいる事に気づく。
ひょっとしてこいつって、芽衣か椿の事が好きだったりするのだろうか?
さっき二人に褒められて照れてたのも、どっちかに惚れてるからってんなら納得だ。
見た目はごつくても、こいつも11歳だしな。
まあ、両方好きって可能性もあるが。
男ならハーレムを目指すのも、致し方なしだからな。
俺はメリエスがダントツ過ぎて、他には目もいかなかったけど……
だからこそ腹が立つんだよな。
裏切られた事に。
「最初100倍って聞かされた時は……ああ、フェアリーファングのロードは何年も先になりそう。なんて思ったんだけど、それだけ強いなら色々期待できそうね」
「まあ、レベルは可能な限りガンガン上げていくつもりなんで」
神との邂逅を果たさんといかんからな。
そりゃもう、ガンガンレベル上げするさ。
そしてメリエス、あの毒婦の顔面に鉄拳をぶちかましてやるのだ。
「それは有難いわー。ゆくゆくはメンバーを増やして、領地戦とかに参加したいし。超性能の勇者兼、ロードがいてくれたら頼もしい事この上なしよ」
創世乃蒼は向上心が高い様だ。
芽衣が言ってた金持ちも、きっと彼女の事だろう。
やり手の女社長って感じがするし。
まあ少し若すぎる気がしなくもないが、そこは金を使ったキャラメイクで若作りを……ああいやでも、11歳の弟がいるならやっぱり若いのか。
って、そう考えると、弟の蒼のビジュアルも、キャラメイクでデカくしただけって可能性が高いか。
年頃の男の子ってのは、自分を大きく見せたがるもんだからな。
ま、身長やアソコのデカさは大人になっても気にする訳だが………
まあビジュアルの事はこの際どうでもいいか。
別に必要以上に親しくなる気もないしな。
実は創世姉弟がすっごい不細工だったとしても、俺が気にする様な事ではない。
「それじゃ……入って貰うに当たって、一応ギルドについて説明するわね」
乃蒼が自分達のギルドについて説明してくれる。
まあとは言え、特筆した内容はない。
纏めると、メンバーを頑張って集めて大きくしたいってのと、迷惑行為は基本的にしない事ぐらいか。
ああ、後、ギルドに必要な資産は乃蒼がRMTで用意するそうで、装備購入費なんかでお金が足りない場合は、自分を頼ってくれていいってさ。
流石大金持ちの女社長、太っ腹である。
「じゃあ、ギルド勧誘を行うわね。問題が無ければイエスを押して頂戴」
俺の目の前に、ギルド勧誘のシステムパネルが表示される。
ちょっと『いいえ』を押したくなるが、我慢しておく。
某ゲームなんかだと、此方がイエスというまで粘られたりするが、現実で無意味にノーを突き付けると、普通は関係が悪化するだけだからな。
まあ一回ぐらいなら冗談で通じるかもしれないが、複数回やるのは大人のする様な行為ではないだろう。
「改めて……フェアリーファングへようこそ!」
「「「「フェアリーファングへようこそ!」」」」
こうして俺は、フェアリーファングなるギルドへ所属する事に。
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