第13話 効率を求めて
「このゲームにもボスはいるんだよな?経験値的にはどうなんだ?」
ゲームによっては、 ボス狩りが最高のレベル上げである事もある。
なので、このAWはどんなもんかと芽衣に尋ねてみた。
「ボス?うーん……低レベルのボス狩りはあんまりお勧めできないかなぁ」
「経験値が少ないのか?」
「経験値は凄く多いよ。でも結構大人数じゃないと倒せないから、一人当たりの経験値は割りに合わない感じだね。結構時間もかかるし」
「大人数って言うと何人ぐらいなんだ?」
「低レベルのボスだと、適正レベルだと100人は必要かな」
「100人か。ボスは結構強いんだな」
低レベルボスで100人必要とか、このゲームのボスは気軽に倒せるようにはできていない様だ。
「うん、ボスはものすっごく強いよー。まあレベルが上がって来ると、そこまで人数が必要ないのも出て来るけど。基本的にはそれ位必要だね」
「ふむ……まあとりあえず、一度ソロ討伐を挑戦してみようかと思う」
「ええ!?翔お兄ちゃん、私の話聞いてた?」
「ああ、けど……俺は必要経験値100倍の勇者なんだぜ?言ってみれば、一般プレイヤーの100倍強いって事だ」
まあ必要経験値の倍率イコール、強さな訳はないんだろうが……俺には秘策がある。
そう、それは――
ペナルティ無視だ。
異世界で鍛えた勇者としての力を使えば、100人力どころじゃない力を発揮できるからな。
「うーん……流石に他の人の100倍強くなるって事はないと思うんだけど……」
「まあ物は試しだ。死んでも経験値が減るだけなんだろ?」
「まあそうだけど、ゲームのデスペナルティは結構大きいよ。レベルアップに必要な分の50%も減っちゃうからね。レベルも下がるし、死にまくったらガンガンレベル下がっちゃうよ」
50%は結構でかいな。
とは言え……
「俺はレベル1だから、これ以上下がり様はないだろ」
「ああそっか」
得た経験値も、最弱の魔物16匹分だしな。
仮に失ったとしても、惜しくもなんともない。
「という訳で案内してくれ。100人も必要な低レベルなボスなんか、早々狩られてないだろうし」
高レベルのボスならいざ知らず、大人数必須な低レベルボス何て放置されているに決まっている。
高レベル帯のプレイヤーが狩ってる可能性も低いし。
このゲームは、魔物のレベルよりプレイヤー側のレベルが10以上高いと、経験値もドロップも無くなる仕様だ――芽衣談。
ボスも同じ仕様だろうし、何の旨味もない低レベルボスを高レベルプレイヤーが狩っている可能性は極めて低い。
0だと言い切れないのは、偶に合理的じゃない事をする奴がいるからだ。
経験値もドロップもないけど、昔苦戦したボスをボコボコにする事で強くなったのを実感し、悦に浸ったりとか。
あと妨害目的とか。
まあ後者は、そもそも放置されてるやつを狙うかって話ではあるが。
「まあ別にいいけど……でも絶対無理だと思うよ」
「ま、ゲームなんだしそういうのも楽しまんとな」
「んー、ま、それもそうだね。じゃあ」
芽衣がシステムパネルを弄ると――俺には見えていないが、手の動き的にたぶんそうだろうと思われる――彼女の足元に魔法陣が現れ、その中から黒猫が姿を現す。
「その猫は?」
「あたしのペットで、パティちゃんだよ」
今の話の流れで、紹介するためだけに猫を呼んだって事はないだろう。
「この子は変身出来て、騎乗も出来るんだよ。しかも二人乗りも出来るの」
乗り物だった様だ。
「ボスのいる所まではちょっと遠いから、パティちゃんに乗って行くね」
芽衣が可愛らしく指を鳴らすと、黒猫だったパティがデカくなる。
サイズ的にはクロヒョウぐらいか?
まあ見た事ないから知らんけど、まあとにかく人間二人ぐらいは乗れそうなサイズだ。
「じゃあパティちゃんお願いね」
「にゃーん」
芽衣が首を撫でると、パティが図体に似合わぬ可愛らしい声で鳴く。
デカくなっても猫は猫のようだ。
「さ、お兄ちゃんも乗って」
芽衣がパティの背中に乗り、その後ろに俺に乗る様に勧めて来たので――
「おう、宜しく頼む」
一応、パティに一声かけその背中へと乗る。
「じゃあいっくよー。物凄く早いから、落ちない様にちゃんと捕まってね」
「ああ、頼む」
「ゴー!パティ―!」
「にゃあん!」
パティが駆ける。
中々の速度だ。
俺は芽衣に連れられ、ボスの元へ向かう。
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