第10話 ステータス
「これは……」
クラスチェンジでヒーローを選択すると、周囲に羽根が舞ったかと思うと――体に何かが巻き付く感覚があり、力が抜けていってしまう。
「マスター!?」
しかも、側に居た水の精霊アクアまで消えてしまった。
なんだ?
なにが起きた?
目の前に赤いパネルが現れ――
『クラス選択されましたので、ゲームバランスの都合で勇者としての能力を制限させていただきました。この制限は現実にも適応されます。制限はレベルの上昇と共に解放されていく形となりますので、どうかご了承ください』
「制限ってマジか!」
まあ確かに、俺がそのまま勇者の力を使えてしまったら、ゲームバランスも糞も無くなるんだろうが……だからって現実の方まで制限するか?
「どうしたの?翔お兄ちゃん」
芽衣が不思議そうな顔で俺を見ている。
どうやら彼女には、この赤いパネルが見えていない様だ。
「ああいや、なんでもない。気にしないでくれ」
「ふーん、変なの」
パネルの文字が切り替わる。
『制限を無視して力を行使する場合、ペナルティとして相応の痛みが伴いますのでお気をつけ下さいますよう。また、ゲームアカウントを削除された場合は、全ての制限が解除されますのでご安心ください』
どうやら、無理をすれば力は使えるようだな。
ペナルティはあるようだが。
痛みの程度次第なら、問題なく使える可能性……は、ないか。
それだと制限の意味がなくななってしまう。
なので、結構な痛みになるはずだ。
ま、どの程度かは後で一度試してみるとしようか。
「ねーねー、ステータスはどんな感じ?見せて見せて」
「ああ、良いけど……ただちょっと先に、一回ログアウトさせてくれ」
「へ、なんで?」
「トイレだよ。すぐ戻ってくる」
「はーい」
という訳でログアウト。
「やっぱ張ってた結界魔法も消えてるな」
現実に戻って自分の状態を確認すると、ゲーム中、無防備状態をカバーするためはってあった結界が消えていた。
水の精霊であるアクアが消えた時点で、たぶんそうだろうなと思ったんだよ。
戻ってきて正解だった。
「じゃあ、ペナルティがどれほどのものか確認してみるか」
俺は魔法で、自分の体に張り付く形の結界を発動させる。
すると――
「ぐっ……なるほど、こりゃポンポン使えんな」
――頭に鋭い痛みが走った。
何と言うかこう、刃物でグサッと頭を刺されたかの様な痛みだ。
我慢できない程ではないが、気にせずバンバン使うには、ちょっとあれな感じである。
まあ緊急時に使う分には、そこまで大きな弊害にはならないだろう。
「やれやれ……じゃあ戻るか」
ペナルティの確認と、保身の結界を張りなおしたので俺は再びログインする。
「おかえりー」
「お待たせ。っと、ステータスだったな」
「うんうん、ステータスステータス」
「えーっと……」
俺はシステムパネルを出して弄り、ステータスを表示させる。
「で、この設定をオンにすればいいんだな」
そしてパーティーメンバーに俺のステータスが見れるように、公開設定へと変更した。
「おー、これが勇者のステータスかぁ。レベル1なのに、全部E以上だね」
「細かい数字なんかは見れないんだな」
ステータス表記は、HPMPを除けば全てアルファベット表記だ。
筋力E・魔力Eみたいな感じで。
以上って芽衣が言ってるから、たぶんこの下にはFがあるんだろうと思われる。
となると、やっぱSが一番上、もしくはその更に上にSS、SSSとかがある感じかな?
「うん、細かい数値は見れないよ。大雑把な区分表示だけ。数字と睨めっこするんじゃなくて、体感や経験から答えを導き出して欲しい。って、製作者がインタビューで答えてるみたいだよ」
「体感ねぇ……」
個人的に、単純に不便なだけな気がして仕方ない。
まあ制作者の拘りって奴なのだろう。
もしくは、このゲームに関わる自称神の都合か。
「この主人公補正は、ヒーロー限定のステータスだね。因みに、私の魔法少女の固有ステータスは意志だよ」
芽衣のクラスは魔法少女の様だ。
まあ多分特殊クラスだろう。
「意志?精神とは違うのか?」
精神は精神で普通に勇者にもあるステータスだ。
意味合い的には殆ど同じように思えるんだが。
因みに、主人公補正はありとあらゆる物に補正が付くとある。
これがどの程度役に立つのか正直未知数だ。
効果範囲が広そうなので大した事ない可能性もあるが、勇者は明確な強クラスっぽいので、空気って事はないと思う。
「意志は意志だよ。因みに、特殊ステータスはレベルアップじゃ上がらないから」
「そうなのか?」
「うん、条件を満たせば上がる感じ。条件は全部違ってて、自分で探さないとだよ。勇者とか聞いた事ないし、他の人と情報交換できないと思うから」
「地力か……」
サクサクッと強くなりたい所だが、自分で一々調べないとなると時間が取られそうだ。
この際、主人公補正は無視してあげていくのも手か……
効果も未知数だし。
「ところで……魔法少女は特殊クラスなんだろ?魔法使いとはどう違うんだ?」
「よくぞ聞いてくれました!」
ちょっと気になって聞いてみると、芽衣が嬉しそうにぴょんとその場で跳ねる。
「魔法使いは遠距離クラスだけど、魔法少女はちょっと違うの。特殊クラスだからさ。もちろん攻撃魔法も使えるけど、やっぱ一番輝くのは……変身しての近接戦闘!これに尽きるわ!」
「なるほど」
変身中も攻撃魔法をバンバン使えるってんなら、魔法戦士。
そうではなく、変身で遠距離戦と近距離戦がきっちり分かれる様なら、スイッチタイプだな。
「後で私の雄姿をお兄ちゃんに見せて上げる!」
「楽しみにしてるよ」
「じゃあ早速装備を買って、狩りに行ってみようか。初心者向けの場所、あたしが教えてあげるよ」
俺は芽衣に連れられ、まずは装備類を購入し、それから狩場へと向かうのだった。
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