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【1面】 転生したい

玖神(きしん)結人(ゆいと)……正体は高校2年生の魔法少女。訳あって保育園生に転生してしまった。音を魔法にできる。

散里澤(ちりさわ)色葉(いろは)…保育園年長の女の子。結人と一緒にいる。絵や色を魔法にできる。

爵士鼓(しゃくしつづみ)神羅(しんら)

そう言えば必ず音が光を放つ。

『これが魔法…』

玖神(きしん)結愛(ゆめ)。少し変わっているが、これが元の少女の名だ。その少女は高校2年生であった。

これを利用して、吹奏楽部でも遊んでいたのだが、成績の悪さで吹奏楽部を辞めさせられてしまった。



それから——精神がおかしくなった。

『結愛ー。テスト何点だった?』

『…25点』

友達に訊かれた際、ギクリとしながら答えた。

『赤点じゃん。私は58点だったよー』

『そ、そうなんだ…』

友達の答えに、結愛の胸奥が沈んだような音がする。

『い、いいなー』

『結愛ちゃんは勉強しないからだよ』

『う、うん。ゴメン』

『どうして謝るの?』

『えっ…』

学校での友達との会話で、泣きそうになることも、しばしばあったのだ。心身共に衰弱してるのだと確信付いた。


1番酷い、と思ったのは——

「全く、吹部やめてドラムの時間も減らしたというのに…。もう演奏しないでね」

親方に趣味の『スタジオの使用』と『ドラム演奏』を禁止されてしまったことだ。

「…いやなんだけど」

「だったら、勉強すれば良かったでしょう!?」

「……!!」

スタジオで和太鼓ドラムをたたく。そんな趣味を失うことは相当なストレスだ。

「そもそも煩かったし、丁度良かった」


その言葉に深夜…、結愛は泣き崩れてしまった。

『ううっ…、どうしてぇ…』

冬の空気を遮断した温かい布団の中。そのたった1人という孤独な空間で彼女は泣いた。

これから趣味もストレス発散もできないのだ。

不安も、ストレスを溜め続け、彼女は精神が壊れつつあったのだ。


彼女にとって、『太鼓をたたく』ことは、ストレスや不安を一気に消し飛ばすものだった。それが無くなった今、何の為に生きれば良いのやら?

それから、高校でも碌でもない友達を巡り、家庭でも不条理な押し付け合いに耐えかね…、

『もう…死のうかな?』

結愛は何度も命を絶とうとした…。薬がなければ生きていけない、と何度も思ったくらいだ。

毎夜、心が完全に壊れる前に死んでしまいたい…、何度もそう思ったときだった。



《戻りたい?》

突然、カラカラになったはずの口が流暢に動き出したのだ。

「えっ?」

《戻りたいか?》

「どこに?」

《死ぬくらいなら、人生やり直したらどうだ?》

「…やり直し。したい」

《なら…早く寝ろ》

結愛自身勝手な独り言…かのように思えた。


だが翌日から…

『人生を…やり直す…』

辛い過去を超え今、彼女は生まれ変わるのだ――。

【次回】 転生したら…幼稚園生だった!?


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