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【10面】 防原の恐怖

『鼓股麻、俺の支配の礎になってくれ』

『ぐぁあああっ!?』

年中の皷股麻は虐められていた。そんなイジメっ子が何と七山皷股麻を洗脳したのだ――。

「お前をころぉぉすっ!!」

「無理だろ」

琴遥はそうツッコミを入れながら、5本の指を引き抜いた。

「…まずは肩が貫けるような痛みをどうぞ」

琴遥はそう言って指で肩を突く。ぐさり!皮膚を完全に刺した…はずだった。

「…ぐぉぉお!!」

「おいおい」 

(直前で避けた…)

鼓股麻は後ろへ回避した。結果、肩を少々傷つけながらも離脱に成功する。

「お前、死んでくれやぁ」

「…完全に目がイってるね」

(こりゃあ…、あれしかねぇなぁ)

そう決意して彼女は、一本の木造ナイフを抜いた。それを手に全速力で飛び出した。

「心臓突いてやるよ。意識は残るかな?」

煽るような言葉は、洗脳した彼の怒りに火を付けた。彼もナイフを取り上げようと飛び出す。

「おれもナイフほしぃぃいいい!!」

(…きたきた)

彼がナイフを取り上げた…と思った。


「股殺傷!」

だが琴遥は股間を蹴り抜いたのだ。

「…ぐぇえ?」

突然の痛みに鼓股麻は意識を取り戻そうとする。

だが…、

「この世界、死んでも大丈夫」

琴遥はナイフを振り上げた。

「…代償は大きかったね」

それを容赦なく――彼の喉へと刺した。


「…アっ」

差し向けられた刺客、七山鼓股麻は一瞬で死んだ。

「あらあら、報われない最期だったねぇ」

防原琴遥。彼女は園児を殺しても一切動じなかった。

「来世は御魔や俺みたいに頭が良くなればいいな」

その煽り文句には、彼を軽蔑するような響きが含まれていた。



その頃、鼓股麻を差し向けた集団は――壊滅させられていた。

「ぐ…えぇ…」

一発でのされた男子たち。その間を鈴の音が通り抜ける。

「…この世は苦しい」

美顔をした女の子。彼女は青藍の髪を揺らした。

「…貴方方の人生もさぞかし苦しいのだろう」

実行者は久慈乃詩(くじのし)永遠(とわ)。御魔直属の手下である。

「いじめ者とは脆い…。この鈴の裁きの音が救いとあらんことを…」

永遠はそう言って教室から消えた。




防原(うわら)琴遥(こはる)久慈乃詩(くじのし)永遠(とわ)澤村(さわむら)雅那虎(まなと)…」

玖神結人は、御魔直属の手下の名を口にしていた。

「ああ。俺の言いたいことが分かるか?」

「ごめん。分かんない」

すると呼び出した男の子は真剣な顔をした。

「…御魔に君は狙われてる」

「えっ?」

それを聞いて、結人の心臓がドクンと跳ね返った。

「ただ危害を加えようって訳じゃない」

だが情報通の彼はそう言った。

「…君は転園してきてから、かなり実績を挙げているだろう?」

「…挙げて?まぁ」

確かに、色葉や凛紗希を制し、剣士の北宮をも倒した。

「…だからこそ、奴らは狙っている」

「怖ぁい。本当に幼稚園ですか?」

「残念ながらここでは殺しも発生してる。君も御魔には従った方が良い」

「…えっ?」 

「御魔の手下は殺しが許されている。下手したら死人が出るぞ。特に防原は気をつけて」

「どうして?」

「防原は人殺しに躊躇がないからだ。しかもフェイントの天才だ。敵だと認識されたらお終いだ」

「…ありがとうございます。助かります」

結人は礼を言ってから、いつものように太鼓小屋へと向かった。



だが…それが仇となる。いつものように太鼓を叩き終えた結人だが、それは狙われていた。


「趣味。それは大きな隙が発生する」

「こりゃあ、しゃあねぇな。久慈乃詩が愛馬を狙ってる以上、やり切るぞ」

防原琴遥と澤村雅那虎。ふたりは結人を狙っていた。



そして一方――

「…兎ちゃん、かわいい」

兎当番だった凛紗希は男の子と行動していた。

「設楽くん、ありがとね」

「いいよ。オレも御魔に狙われたら怖いから」

いつも通りの日々が終わる…はずだった。


「…人生なんて夢風船」

言葉と同時、鈴の音が突き抜ける。

「!?」

ただならぬ気配を感じた凛紗希は、

「やっ!」

バク転して何かを躱す。流星の如く放たれたそれは兎小屋の外壁に突き刺さった。

「…平和は純朴たる所以。はじめまして」

そう言って現れた人物。

「…久慈乃詩…永遠!?」

御魔の手下、久慈乃詩永遠だった。


「…今宵は貴方方に誘いがあります。落ち着いて清聴願いたく…」

だが次の瞬間、永遠は後ろへ滑った。

「…類を見ない脚力」

「…ちっ」

凛紗希は舌打ちをして着地した。

「…どうやら一流の戦闘者みたいだね」

「私の能力は私用の為ではない。きっかけこそが儚き心を突き動かす」

そう言って――永遠は細い鈴付きの棒を構えた。


そしてこのあと、この兎小屋は絶望の戦場と化す。

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