【9面】 御魔の手下 其の三
「…はぁ、つまんないなぁ」
年中の部屋から出た小さな女の子。桃色の浴衣の胸元の名札には國廻璃美心と書かれていた。
「なんか…おもしろいこと…」
彼女は昼寝の最中というのに、外へと出ていた。そんな彼女の所に、もうひとりの少女が現れた。
「防原」
「んっ?」
短髪の男のような少女、その名は防原琴遥。彼女も御魔の手下、直属の四天王のうちの1人だった。
「防原。寝ないの?」
「お前こそ。なぜに寝ないの?」
「日々がつまらないから、かな」
「いくらお前が強いとは言え、御魔直属の手下になれるのは不可能」
「…このままじゃ卒園するまで退屈だよ」
「ふはっ!死ぬぜ!!」
そう鼻で笑って琴遥は消えた。御魔には8人の魔法使いと異能力使いを従えている。だが、璃美心はそのうちの何処にも属さない。だが、この園でもトップの園児だった。
その日の放課後。
「澤村ー、おせーよ」
「すまねぇ、寝てたんだァ!」
澤村雅那虎は琴波に呼び出されていた。雅那虎も四天王の1人だ。ちなみに最強と呼び声が高い。
「永榮と防原…あとヤマハは?」
「ヤマハは監視だろ」
「だったな」
雅那虎はふはっと笑った。
「あれ?御魔は?」
「今回は御魔は関係ねぇよ。玖神についてだ」
「玖神?あー、結人ってやつのことかぁ」
「奴はつい最近、ここに来たらしい」
「おう。強いみたいだな」
その通り、と琴遥が頷いた。
「…奴は散里澤色葉や愛馬凛紗希を従えてる。敵に回せばたぶん厄介だな」
「ほぉん。よく分からんが分かった!」
「駄目じゃねぇか」
ビシッと琴遥が突っ込んだ。
その時だった。
「ん?」
誰かがこちらへ歩み寄る。
「…おまえが御魔の手下か!」
「だっせー」
御魔をよく思わない園児が喧嘩を吹っかけてきた。
「…おやまぁ、これは面倒な」
雅那虎はただそれを仕方なさそうに見る。
「坊やたち!帰りなぁー!俺と戦っても勝てねぇ!喧嘩する相手違ぇぞ」
そして声を掛けた時だった。
「黙れや」
誰かが園児へと飛び出した。
「はやっ!」
その誰か――それは防原琴遥だ。琴遥は園児の腕に爪を突き立てる。
「イデデデデっ!!」
「…御魔は最高のボスだ。てめぇ如きが敵う相手でもねぇんだよ」
琴遥の声は低く、もう1人の園児も震え上がらせた。
「…逃がすか」
琴遥は足を伸ばし、もう1人の園児を蹴り倒した。
「…いたぁ!」
「お前、頭が悪いんだな…。逃げられるとでも?」
「ば、ばけもの…が…」
ただの幼稚園児がもはや化け物だ。
「…俺は選ばれし戦士なんだよ。お前みたいな日和りとは全く違ぇ」
「う、うぁあ…」
結局、一瞬のうちにふたりを制圧した。
だが…
「お前、きらぁい」
(面倒臭いなぁ、洗脳してる奴か!)
琴遥は舌打ちする。
本命は目の前の男の子。七山鼓股麻という洗脳された戦士だった。
「…面倒だが、得意とする所」
琴遥は敢えて笑う。すると狂気的な目をした奴はこちらへと飛び出してきた――。
【次回】 死者が…?




