表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義姉曰く、私は悪役令嬢を断罪するヒロインらしいのです  作者: えんどう豆
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/12

原作曰く、私は悪役令嬢らしい(後)

ここに連れて来られて、数日が経った。

泣き叫ぼうが、暴れようが、助けは来なかった。


何日かに一度、食事が運ばれてくる。

食事と言って良いのか分からないが、もさもさとした食感のクッキーと飴玉、そして濁った水、それが数日分まとめて与えられるのだ。


バケツで用を足し、着替えはもちろん風呂にも入れない。

毎日、硬い床の上で毛布一枚を掛けて眠る。

日中も狭く汚い部屋の中で、何をするでもなく、一人で床に転がっている。




『良かったではないですか、原作とは違う結末になって。原作では斬首されたのでしょう?』




ふとビビから最後に言われた言葉を思い出した。


良かった?

これが?


こんな扱いを受けるぐらいなら、いっそ一思いに斬首された方が良かったに決まっている。


私は原作通りにならないよう、必死に努力してきた。

ビビを助け、殿下を助け、両親までもを助けてやった。

なのに私が助けた彼等は、誰も私を助けてはくれない。

役に立たない人間ばかりだ。


あんなに頑張った結果がこれなんて、悔しくて悲しくて、涙が出る。


本当なら私はロジェ殿下と結婚し、王妃になるはずだった。

聖女にだってなれていたかもしれない。

ビビさえいなければ、全て上手くいっていた。


アイツのことが、憎くて憎くて仕方がない。

けれど、もう遅いのだ。


殺してやりたい。

殺しておけば良かった。

そう何度思っても、何度後悔しても、もう遅い。

















どれくらいの日が経ったのか、もう分からない。

頭がぼんやりとして、体を起こすのも難しい。


どうして私がこんな目に、どうして、どうして。


護送担当者は「反省したらここから出してやる」と言っていた。

一体それはいつなのか。


私はもう十分反省している。

後悔もしている。


私が悪かったのでしょう?

私がビビを苛めたからいけなかったのでしょう?

私がロジェ殿下を奪ったから怒っているのでしょう?


ねぇビビ、私が悪かったから、反省しているから、ここから出して。

助けてよ。




『私は、あなた達を許さない』




あの時、まっすぐに私を見つめてきた強い眼差し。

そこには決して揺るがぬ覚悟があった。


そうだ、私は決して許されないのだ。

どんなに反省しても、謝っても、ビビは許してくれない。


それでも私は願わずにいられなかった。


ビビ、どうか私を許して。

聖女様なら私のことを許して、助けてよ。


願って、どうせ叶わぬ願いだと絶望し、また願って、絶望して。



「も、う……嫌……」



もう解放されたい。


神に愛された聖女様。

彼女に許されない私が、死によってこの苦しみから解放されるのかすらも怪しいけれど。

いや、きっと死してなお、苦しみは続いていくに違いない。


怖い。

死の恐怖、生きる恐怖、死ねない恐怖。


許して欲しい。

許されたい。


だけどビビは、私を許さない――……











次話、ロジェ殿下視点で番外編完結です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
始まりがリアーナからだったからかリアーナ視点で見てしまっていたので、ここまで来たら自分が最良のエンドを迎えるまで輪廻転生から抜けられませんのような続きが見たいと思いました。 2回目で実際に殺してみて欲…
妹視点で見るよりずっとタチ悪かったですね姉…何も反省してない ただ自分が可愛くて自分が助かりたくて逆恨みしてるだけでビビに対して申し訳ない気持ちなんて1ミリもなかった… 内心こんなこと思っていたなら態…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ