プロローグ
新作です!
たくさん投稿していきます!
どこを見ても燃え残ったがれきが転がっているだけ。
もう足にすら力が入らない。
体のあらゆるところが出血しているけれど痛みも感じない。
仲間はどこ。『彼』はどこ。
荒れ地を颯爽とかける少女の姿は荒れ野に力強く咲く小さな花のようだった。
どこを探索しても生き残りはいなかった。
焦げた木材と血の焼けたようなにおいが漂っていて吐き気をもよおすような状態だった。
相棒である馬、ワイアットの白く輝くたてがみが揺れる。
「エイダン准将。生存者は見当たりませんでした。移動なさりますか。」
1500もの兵を動員しても生存者を見つけることはできないのか。だが、たしかここは優秀な兵を養成するために作られたファームがあった地区のはずだが。
「敵が襲撃してきた方に向かった者がいるかもしれない。俺は東へ向かう。他の者は瓦礫の中をもう一度捜索しろ。」
ワイアットを走らせても見えるのは兵の死体だけ。
それほど敵は強かったのだろうか。
その死体すらも少なくなってきた。
やはり、もう生存者はいないのだろうか。ワイアットの足元に散らばるがれきを見つめていた視線をふと上げたとき、荒れ野に小さな白い花を見つけた。
「人だ。生存者だ。」
俺は一目散にその場へ向かった。
倒れていたのは10代半ばと思われる少女だった。
白く言えるほど色素の薄い金髪に陶器のような透き通った肌。
純白の軍服に滲む深紅の血痕。
俺は少女から目が離せなくなった。
口元に手をかざすとかすかに息をしていた。
俺は羽織っていたマントを少女にかけ、割れ物に触れるかのように慎重に抱きかかえワイアットを走らせた。
この国は巨大な要塞のような作りをしている。平穏な日常を壊さないために。
国の平和、一般国民を守るためにこの国には選ばれし者の揃った軍が存在した。
優秀な軍人を養成するため生まれたばかりから子供を隔離し、訓練する施設、それがファーム。
そこにいる子供たちは生活をすべて管理され、休む間無く軍事訓練と勉学に励む。
訓練は厳しく、死者が出るほどであった。
18歳を迎えた者はイルミナと呼ばれる特別部隊で軍人として活躍していく。
イルミナの隊員には一般隊士が昇格することでなることもできるが、数はとても少なかった。
一般隊士とファーム出身の隊士は対立することが多い。
彼らには感情が存在しないから・・・
次回も楽しみに待っていただけると幸いです。