ご勘弁いただけたらと。
「…………ふぅ」
「ふふっ、もう何度目ですかそれ。よほど緊張なさっているのですね」
それから、翌日のこと。
放課後にて、深く呼吸を整える僕に可笑しそうに告げる白河さん。まあ、それもご尤も。20分ほど前に合流したばかりの彼女の前でも、もう何度目かという深呼吸だし。
さて、そんな僕らがいるのは屋上――今日、桜野さんと待ち合わせをしている屋上で。理由は――まあ、言わずもがなかもしれないけど、めでたくお友達となった白河さんを桜野さんに紹介するためで。……まあ、セフレだけど。
さて、彼女がお越しになるのを待つ間、しばし他愛もない会話を楽しんでいたのだけど――
「……ふふっ、それにしても……昨夜はいっそう、それはそれはとっても可愛かったですよ、奏良先輩?」
「……お願いですので、もう止めてください白河さん」
そう、何とも愉しそうに微笑み告げる。……うん、ほんともうご勘弁いただけたらと。
さて、何のお話かと言うと……まあ、昨日の夜めでたく(?)そういう関係になったことに関してで。
『――それでは、早速ですが本日の夜にでも私の部屋に来てくださいね? 住所は、後ほど送りますので』
『…………へっ?』
昨日、帰り道にて。
話が纏まり連絡先を交換した後、ニコッと笑いそう口にする白河さん。しばらく茫然としていると、彼女は少し可笑しそうに口を開いて――
『あっ、お分かりかとは存じますが、まだお友達ではありませんよ? なにせ、私達はセフレ――つまり、お友達が成立するのはそういう行為をした後ということになりますので』
『…………』
そう、花のような笑顔で告げる。……うん、まあ、言葉も出ないよね。