決意
「――いやーほんとビビったわ。途中から、なんか会話に入ってこなくなったと思ったら……くくっ、いやほんとビビったわ」
「……その、ほんとに申し訳ありません」
「いや、いいって。ただ面白かっただけだから。ちょっとイジりすぎたな、悪りぃ悪りぃ」
それから、しばらく経た夕暮れ時。
旅館のお部屋にて、ベッドに腰掛けそう口にする笹宮くん。言葉の通り楽しそうなご様子なので、そこはほっと安堵なのだけど……うん、ごめんなさい。
さて、何の謝罪なのかというと――鴨川でのんびりしていた中、事もあろうにいつの間にやら眠ってしまっていた件についてで。……うん、我に返った瞬間、ほんと血の気が引いた。だけど、お二人とも可笑しそうに微笑みおはようと言ってくれて……うん、ほんとごめんなさい。
「いやー今日も楽しかったなぁ三崎! それに、今日は時間もたっぷりあったし」
「そうですね、笹宮くん。昨日もとても楽しかったですが、今日はいっそう充実していたように思います」
「そうだな、特に鴨川とか?」
「……そ、それはもういいじゃないですか」
それから、数十分経て。
そう、揶揄うように尋ねる笹宮くん。まあ、楽しんでくれてるなら何よりだけども。
さて、今いるのは昨夜と同じく露天風呂。燦然と星の瞬く澄んだ空を見上げながら、心地の好い温かなお湯に浸っているわけで。
その後も、他愛もないお話に花を咲かせる僕ら。もちろん、笹宮くんが会話をリードしてくれているからなのだけども……それを含めても、こんなにも言葉を紡げている自分に我ながら本当に驚きで――
「……なあ、三崎」
すると、ふとそう口にする笹宮くん。先ほどまでとは違い、少し改まった様子で。その様子からも、何を言おうとしているのか大方察せられる。それは、きっと昨日言おうとしていたことで――
すると。深く呼吸を整える笹宮くん。そして、少しの間があった後、じっと僕の目を見つめ言葉を紡ぐ。
「……俺、灯里に告白するよ」




