お友達
「…………」
そう、不敵に微笑み告げる白河さん。その言葉から察するに、どうやらさっきの屋上での件を見られていたようで。まるで姿を見ていないことから鑑みるに、きっと僕より先にいたのだろう。……それにしても、気配どころか視線すら全く感じなかったけど……まあ、かなり緊張してたしね。
ともあれ、今の彼女の言葉は数十分前、屋上にて告げられた桜野さんの返事に関してで。
『……お友達から、ねえ。一応聞いとくけど、三崎って友達いるの?』
『……へっ? あっ、いえ……』
『だよね。少なくとも、学校では誰とつるんでるとこも見たことないし。さて、そんなぼっちのあんたが最初の友達に私を選んだってことだよね? つまりは、あたしなら簡単に友達になれると……ふっ、随分と軽く見られたもんじゃない』
『……あっ、いえ決してそういうことではなく! ……その、ただ僕は……』
そう、こっちをジトッと見て告げる桜野さん。……いや、決してそういうつもりでは……いや、でもそう思われるのも当然か。実際、僕は友達がいないのだし。
「…………はぁ」
すると、何処か呆れたように溜め息をつく桜野さん。そして、再びゆっくりと口を開き――
『……でも、そうね。それでもこうして言いに来た勇気に免じてチャンスを上げる。そうね……今から一週間以内に、一人で良いから友達を作ってくること。そして、あたしに紹介しにくること。それが出来たら、ひとまず知り合いから始めてあげるわ』