久方ぶりに
「――いやーほんとありがとな三崎! お陰で今回はたぶん……いや、絶対に大丈夫だ!」
「いえ、どういたしまして。ですが、僕は少しお手伝いしただけで、頑張ったのは笹宮くんご自身です」
「へへっ、そう言われると照れるな」
それから、二週間ほど経た小昼の頃。
二年B組の教室にて、僕の席に駆け寄りそう告げてくれる笹宮くん。大丈夫だとは思っていたけど、この言葉と笑顔からも改めて確信しホッと安堵を覚える。
さて、言わずもがなかもしれないけど、本日は中間テストの最終日で……うん、お疲れさまです、笹宮くん。
「――そうですか、それは良かったですね」
「はい、白河さん。もちろん頑張ったのは笹宮くんですが、少しでもお役に立てていたのであれば嬉しいなと」
「ふふっ、先輩らしいご感想です」
それから、数十分ほど経て。
鮮やかなプルメリアが彩る帰り道を、和やかに会話を交わし歩いていく僕ら。改めてだけど、笹宮くんが今後も部活を続けられそうで本当に良かった。懸命に勉強を頑張っていた姿を間近で見ていただけに、いっそう強くそう思う。そして、少しでも役に立てていたら嬉しいなとも改めて思う。
「ところで、奏良先輩。久方ぶりに、どこか遊びに行きませんか?」
「へっ? あっ、もちろんです白河さん!」
「ふふっ、それは良かった。一応、これでも気を遣ったんですよ? 体育祭の練習だったり試験の勉強だったりと、先輩もいっそうお忙しいと思ったので」
「……その、申し訳ありません……」
その後、ややあって柔らかな微笑でそう問い掛ける白河さん。確かに、久方ぶりだけれど……そっか、それは何とも彼女らしい理由で――
「……まあ、本来であれば少し前――体育祭が終わって間もなくお誘いしたと思います。その頃であれば、中間試験までまだ少し期間もありましたし」
「……まあ、あの頃は怪我をなさっていましたからね」
「怪我? いえ、それが理由ではありませんよ? あの時お誘いしなかったのは、ただ単に私が怒っていたからです。ねえ、先輩?」
「……あ、あはは、そうですね……」
すると、満面の笑顔で告げる白河さん。そして、そんな彼女に引きつった笑みを浮かべる僕。……うん、根に持ってたんだね。まあ、分かってたけど。
ともあれ、若干居た堪れない雰囲気にて歩みを進めていく。そして、到着したのは街中に控えめに在するカラオケ。久しぶりに白河さんの歌を聴けることに胸を躍らせつつ階段を上がり、そして二階の受け付けへと――
「…………へっ?」
ふと、ポツリと声が。隣を見ると、白河さんもまたポカンとした表情で。と言うのも――
「…………冬雪」
受け付けにて、目を見開きポツリと呟くツーブロックの男の子。そして、隣には華やかな顔立ちの女の子。お祭りの日にも会った少年少女、江川くんと弓島さんのお二人で。




