恐縮です。
「……うん、今日も美味しい。ほんと、幼い頃から淹れてる私より美味しいってどういうこと? ちょっと妬けちゃうなぁ」
「い、いえそんなことは……ですが、ありがとうございます秋奈さん」
それから、20分ほど経て。
柔らかな黄昏の陽光が差し込む頃、カウンターの席にてそんなやり取りを交わす僕ら。美味しいとは、閉店作業を終えた後ややあって僕の淹れた珈琲のことで……うん、大変恐縮です。
「それにしても、ずっと言ってるけど奏良さんが来てくれてほんと良かった。料理の腕はピカイチだし、お客さんにもすっごく人気だし」
「……そ、そんな……その、僕は接客が苦手なので、せめて調理では貢献しなければと思っているだけで……」
「ふふっ、ほんと謙虚だね。いや、どっちかと言えば卑屈かな? それでさ、ほんとにいつか継がない? このお店。奏良さんと私が継いでくれたら安心だって、パパとママも言ってるし。あっ、もちろん急かすつもりはないから安心して? 大学を卒業してから、とかでも全然良いから」
「……その、ありがとうございます秋奈さん」
その後、ニコッと微笑みそう告げてくれる秋奈さん。僕には勿体ない、大変有り難いご評価だけども……これがお世辞でないことは、まだ短い間ながらこれまでの彼女との関わりで流石に分かっていて。そして、お父さまやお母さまのご評価もまた本当のようで、いつか継いでほしいと直接僕に仰ってくださり……うん、何から何まで本当に恐縮です。




